「シューベルトの交響曲」といえば、誰の口からもまず真っ先に出てくるのが『第8番(未完成)』という事になるが、個人的には最後の『第9番(グレート)』の方が遥かに好きであり、また傑作だと思っている(『未完成』が第7番、『グレート』が第8番という表示が正しいとする見方もあるが、ここでは冒頭の表記で統一する)
元来が歌曲王であり、また小曲の人とも言われるシューベルトだが、尊敬するベートーヴェンに肖って交響曲にも手を伸ばしていく。
初期から中期にかけては、モーツァルトやベートーヴェンの亜流というような域を出ていなかったシューベルトの交響曲に、グっと「らしさ」が出てくるのは、やはり『第5番』辺りからだ。
そうして『第8番(未完成)』によって、あたかも頂点を極めたかのように言われがちだが、前にも記載した通り個人的にはベートーヴェンの『第5』とカップリングされたものなどは、やはり何度聴いても聴き劣りがする感は否めない。
勿論、これは比較する相手が偉大すぎる事もあるが、それよりもなによりこの『第9番(グレート)』こそは、充分ベートーヴェンにも匹敵しうる大作である
事実、この曲を最初に耳にした時は
「これが本当に、シューベルトの交響曲なのか?」
と、耳を疑ったものだった。
なにせ、元々が「歌の人」であり「ピアノ(特に小品)の人」であるシューベルトだから、オーケストレーションはあまり得意とするところではなかった、と言われる。したがって、交響曲のような大作には向かない人だと一旦は結論付けられたのだった。
が、この『グレート』に限っては、あたかも突然変異のようにあまりにもイメージが違いすぎて、まさに人が違ったような威風堂々たる貫禄が感じられるのだ。モーツァルトの流麗なメロディラインと、ベートーヴェンの雄大なスケールをミックスしたような、まことに気宇壮大な大曲なのである。
第1楽章
ホルンの伴奏を伴うユニゾンで、大らかに始まる。この開始部分は、シューマンの交響曲第1番「春」やメンデルスゾーンの交響曲第2番のモデルとなっている。この序奏部分が、楽章全体を構成する主要なモチーフを提示している点に大きな特徴がある。
出典Wikipedia
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