2004/12/29

女帝最大のピンチ

  過去8度の定期考査のうち、半分の4度のトップを誇るのがマザーで、トップを逃した4度のうちの3度も僅差の2位。その「天才マザー」が、前回は初めての3位の「自己ワースト」を記録して迎えた第4期定期考査である。

 

ここにきて「女帝」マザーが、遂に最大のピンチを迎えた!

 

テスト前にひいた風邪をすっかり拗らせてしまい、傍目にも辛そうなほどに鼻をグスグスいわせながら、目も虚ろの状態だ。

 

「マザー、無理しないで休んだら?」

 

と心配する女子らに

 

「こんな大事な時に、休んでなんかいられんて!

テストが終わったら、休むかも知れんけど・・・」

 

いつもながらに気丈には振舞っていたが、日頃から赤い顔を一段と真っ赤に火照らせている姿は、見るものの心配を誘うに十分だった。

 

彼女の家は学校区でも最も遠い。交通の便も悪いF市に住むマザーは、乗り継ぎなどの関係から通学所要時間は片道で約1時間半を要した。ラッシュ時の駅コンコースや、名古屋駅ホーム大階段の昇り降りの繰り返しは健康な時ですらかなりキツイだけに、病に冒された身にはまさに地獄の責め苦だったろう。

 

しかも、そのタイミングがテスト直前だっただけに、無理が祟ってさらに悪化に拍車をかけているようで、あたかもこの稀代の天才の限界を試すかのような悪条件が重なってしまった。

 

しかし、そんな事情とは一切関係なく定期考査の日は容赦なく訪れる。静謐な試験場と化した教室には、マザーの鼻を啜り上げる音だけが、やけに大きく響いていたらしい。それでも何とか執念で総てのテストを終えたマザーは、思った以上の重傷で試験終了とともに医務室へ運ばれた。

 

「こんな酷い体調の子にテストを受けさせるなんて!

教師失格じゃ!」

 

38℃近い熱があったらしく、担任は保健のイヤミ女教師からコッテリ油を絞られたそうな。

 

翌日から2日間、初めて学校を休むこととなり「鬼の攪乱」などとも揶揄されたマザーだったが、今度ばかりは珍しく気弱げに

 

「今回は集中できず、ボロボロだよ・・・」

 

と弱音を漏らしていたとか。これまで死守してきた「全て3位以内」という金字塔の終焉は言うに及ばず、果たして

 

「あの天才マザーが、どこまで凋落するか?」

 

と、その結果はオーバーに言えば「全生徒の注目を集めるイベント」と化してしまった。

0 件のコメント:

コメントを投稿