2つの主要なメロディがABABAという順に出てくるアンダンテの楽章です。全体にロマンティックな気分に溢れています。
最初のAの主題は低弦の雰囲気たっぷりの音の動きの上に,オーボエで演奏されます。大変魅力的なメロディです。短調で始まるのですが,途中長調になる辺りの微妙な色合いの変化もシューベルトならではです。その後,弦楽器などによる毅然とした雰囲気の部分が続きます。Bの主題は,低音楽器の導入に続いて,第2ヴァイオリンによって歌われます。下降するような豊かなメロディもAに劣らず大変魅力的です。
最初のAの主題は低弦の雰囲気たっぷりの音の動きの上に,オーボエで演奏されます。大変魅力的なメロディです。短調で始まるのですが,途中長調になる辺りの微妙な色合いの変化もシューベルトならではです。その後,弦楽器などによる毅然とした雰囲気の部分が続きます。Bの主題は,低音楽器の導入に続いて,第2ヴァイオリンによって歌われます。下降するような豊かなメロディもAに劣らず大変魅力的です。
ホルンによるつなぎの音型の後,後半に入っていきます(この部分は,シューマンが「天の使いが潜んでいるようだ」と絶賛した部分です)。後半もA,Bが微妙に味付けを変えながら交互に出てきます。最後にAによるコーダとなり,静かに結ばれます。
ドヴォルザーク、シベリウスと並ぶ《音楽界の三大ブ男》とも称される事もあるシューベルトは「ビア樽」と渾名された小太りの小男(150cm台)、牛乳ビン底のような分厚いメガネをかけたド近眼、さらに若い頃から髪が薄いという容姿が伝わる。そうしたコンプレックスのせいか、極度に引っ込み思案な性格で人付き合いが苦手だった。内気で素朴で誠実なその人柄は、シューベルトの音楽を聴くとよくわかる気がする。
シューベルトの生涯で話題にのぼる女性の名は2,3なくもないが、どれも実のない話題にとどまっていたらしい。彼は自分の気持ちを相手に告白するにはあまりに内気すぎたし、家庭を営む資力のないことをも知り過ぎていた。
シューベルトのメロディーは、歌曲などに残っているように心に残る美しいものが多い。シューベルトは、次から次へと頭に浮かんでくるメロディーを、夜寝ている時に思い浮かんでもすぐに書きつけられるようにと寝る時もメガネも外さず、枕元にはメモ用の五線譜と鉛筆が置かれていて、いつでもメロディーを書きつけられるようにしていたと伝わる。
元々、ベートーヴェンやモーツァルトのように本格的な作曲の勉強をしていないため、交響曲となるとオーケストレーションに難ありとされてきた。それを明確に自覚し、本格的にオペラや交響曲を書こうと勉強を始めた矢先に、31歳の若さで無念の死を迎えることになってしまった。
その時期に書かれたものが「未完成」であり「ザ・グレート」でもある。今日ではシューベルトの代表作とされるが、どちらも生前には日の目をみていない。
第8番『未完成』の初演が死の40年後だったのは有名だが、長らく「幻の大交響曲」と称され作品の存在自体も謎に包まれていた第9番『グレート』も、同様に生前は埋もれたままであった。シューマンにより発見され、メンデルスゾーンによって初演が行われるまでには、作曲後10年以上を待たねばならなかったくらいだから、シューベルトは自身の曲を聴くことはなかった。
『未完成』と共にブルックナーなどのロマン派の作曲家へ大きな影響を与え、ベートーヴェンの『第9』と並ぶ長大な交響曲の元祖ともいうべき存在である。
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