しかし弦楽四重奏曲というジャンルでは、さしものスメタナもこの苦しみを吐露せずにはいられなかったらしい。
ゲーテは弦楽四重奏曲を「4人の賢者の対話」と表現したが、ここでは聴き手の心を抉るようなすさまじい方法で、自らの生涯を描いている。
第3楽章 彼の将来の妻へ出会ったときの強い感情
最終目標に向かう、厳しい運命を背負っての戦い
第3楽章は一転して、心に染み入ってくる深い詠嘆である。
ソロの思念的で深沈とした音色はどうだろう。
全編に渡って、墨絵のようなデリカシーあるモノローグが常に漂う。
曲が盛り上がるにつれて、熱気と狂気の中から粘りつくような慟哭が聴こえてくる。
そしてうっとりと昔を懐かしむような、哀愁に満ちた旋律が綿々と綴られる。
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