2003/12/22

飛騨の極楽(天下の名泉へpart5)


 飛騨牛は、岐阜県の主に飛騨地方で肥育される黒毛和種の和牛(これを「飛騨牛(ひだうし)」と言う)から採れる枝肉の内、一定の規格以上の牛肉に対して許される呼称。ブランド牛肉として確定したのは、昭和60年代以降である。

飛騨牛とは、岐阜県内で14ヶ月以上肥育された黒毛和種で、日本食肉格付協会の枝肉格付で肉質等級が3以上、歩留等級がAまたはBに認定された牛肉である。等級が基準外の物は、飛騨和牛とされる。したがって、飛騨地方以外でも岐阜県内なら飛騨牛の名が与えられる。

 長野県山口村の岐阜県への越県合併により、同じ生産者の牛がある年までは木曽牛、ある年からは飛騨牛として出荷された例がある。実際には、岐阜県内の生産者の約半数が飛騨地方におり、かつ品質が高いため飛騨地方生産の飛騨牛が多い。

 購入した牛肉の生産者は、岐阜県産牛の生産情報で確認できる。なお、飛騨牛は食肉はなった後は「ひだぎゅう」と呼び、食肉になる前の牛、牛を産むための母牛(繁殖牛)および父牛(種雄牛)は「ひだうし」と呼ぶ。

 飛騨牛は霜降りが多く、薄いピンク色をしている。筋肉繊維が細い為、肉質が柔らかい。味については人により様々であるが、甘みがあるという。

 飛騨牛がここまでブランド化できたのは、一頭の雄牛「安福号」の功績が大きい。肉質の良い子孫ができやすい遺伝子を持っていた。安福号は1980年(昭和55年)41日に兵庫県美方郡村岡町(現香美町)で生まれた但馬牛である。1981年(昭和56年)616日に県有種雄牛として岐阜県が購入し、721日に当時の上松陽助岐阜県知事により「安福号」と名付けられた。

 生涯で39,000頭余りの子ができたというが、実際に飛騨牛になったのは25分~3割である(無論、この産子数には繁殖母牛として使われる雌牛が含まれていることから、この比率はかなり高い確率だという)。

出典 Wikipedia

 飛騨牛の食べ方として特徴的なのが「飛騨牛まぶし」。ひつまぶしといえば「うなぎのひつまぶし」があるが、飛騨牛には「飛騨牛のひつまぶし」という食べ方がある。飛騨牛をご飯に乗せ1杯目はそのまま、2杯目にきざみ海苔・ねぎ・わさびといった薬味を乗せ、3杯目をお茶漬けにして食べる。最後は、とろろをかけることもある。

まずは飛騨牛串焼き、牛タンを軽く炙ったヤツを食べるとこれが真に旨いから、ビールも思わずグイグイと進む。あまりピッチが上がると、折角の料理に差し障るため地酒に切り替えたところで、メインの寄せ鍋が登場だ。

 カツオ昆布のシンプルな醤油味のだし汁で、食材は鶏肉をメインに揚げ、かも団子、白菜、エノキ、しいたけ、鯛かまぼこ、春菊、そして豆腐など。これらをテーブルのついたコンロで、土鍋に入れて炙りながら食べる。最後にうどんが出てきた頃には、すっかり満腹していたので

「まだ、うどんがあったんだ?

もう、とても食べられない・・・」

と音を上げると

「折角ですから、少しだけでも・・・」

と勧められるままに食べてしまい、すっかり満腹した。

そうして苦しいほどに、満腹に膨れ上がったお腹を抱えるようにして部屋に戻ると、いつの間にか布団が敷いてあるではないか。ホテルとしてはサービスのつもりだろうが、留守の間に部屋に入られるのはどうも気分が悪い。

それはともかくとして、なにしろ食べ過ぎてお腹が苦しいのでしばらく畳の上に大の字になってゴロゴロしていたが、少し楽になった頃合いを見計らって、また風呂へ行くことに。ホテルの内風呂は旅館の大浴場のような、何の変哲もないタイル張り長方形のもので、些か拍子抜けがした。

前日の宿の岩風呂に比べ、風呂そのものは幾らかは広いが、情緒はまったくない。精々窓から、温泉街の夜景を見る事が出来るのが唯一の慰めか。一旦部屋に戻り、夜が深まってから今度は露天風呂へ行く。屋上にある露天風呂は、どれも一人用サイズの小さなものである。ヒノキの五右衛門風呂のような丸い形のものと、打たせ湯のように細い湯が落ちてくる四角のとが2つあったが、やけに湯がぬるいのは吹きさらしの屋上の外気にモロに晒されているためか。これで長湯をしていては風邪を引いてしまいそうなので、早々に夕食後に入った内風呂に河岸を移すと、ここでは何人かの先客がいた。

小さい湯船では、他の見知らぬ泊り客と顔突き合わせて入浴するのは気詰まりだが、幸いにしてそれほども小さくはないから、皆がそれぞれ知らぬ顔でヒゲを剃ったり、頭や体を洗ったりしている。壁を隔てた隣の風呂場から、若い女性らしき数人のやたらに派手な嬌声が聞こえて来るのはなんだろう・・・と、クダラヌ事を考えるともなく考えつつノンビリと湯に身を任せていると、日常の疲れが吹っ飛んでいくようである。こうして、下呂二日目の夜は更けていった。

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