ご存じの通り、この曲はベートーヴェンの『第5番(運命)』、ドヴォルザークの『第9番(新世界より)と並ぶ『三大交響曲』として真っ先に採り上げられる曲だけに、かつては店頭に並ぶディスクで『第5(運命)』とカップリングをされているケースが、やけに目に付いた。
実は、若いころは
(これが、それほどの傑作かいな?)
と、ずっと思っていた。
カップリングの多くは、この曲が第5の後にくるのだが、それがために折角『第5』で最高潮にまで高められたテンションが、あの『未完成』の地の底から響いてくるような、冒頭のなんとも地味な音色によって、フニャーっと萎えてしまうような気がして、どうにも不合理に感じたものだし、単に不合理と言うばかりでなく、どうしても見劣り(聴き劣り?)がしてしまうのである。
確かに良い曲には違いないが、果たしてあの『第5』や『新世界』に比肩しうる傑作かとなると、やはり疑問符をつけたくなってしま気持ちがあった。
ところが、あの辛口で鳴らしたブラームスは
《この曲は、交響曲の形式としては2楽章と一見未完成に見えるが、作品そのものは2楽章ながらも完璧なまでに完結されている。
誰がこの完全なる2楽章の後に、無用の音符を付け加える事が出来ようか・・・》
と絶賛していたらしく、それから段々と年齢を重ねるにつれて、あの張り詰めたような独特の緊張感に魅せられ、すっかりこの曲のファンとなってしまっていた。
ブラームスとは違い、凡庸かつ欲張りな素人のワタクシとしては、やはりこの素晴らしい2楽章の後に、他の誰でもないシューベルト自身の作による「第3楽章」、「第4楽章」と続く『完成版』が聴きたかった、と声を大にして言いたいのである ( ´艸`)ムププ
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