「マッハのクソバカヤローが!
アイツが報告しやがったのか、チクショウ!
あのネクラの陰険ヤローめ、憶えとれ!」
これが犯行現場をオヤジによって押さえられ、逃げ場を失ったレーコ姉が発した「逮捕後」の第一声だった。反省の色は微塵もないどころか、逆にマッハを罵倒し叫んでいたらしい。
「バカモン!
マッハには、オレが言いつけたのだ。
誰が好んで、こんなクダラン真似をしたがるか!
オマエの様子が、日頃から怪しいのはわかってたんだぞ。それにしても、なんたる非常識なヤツだ、オマエは!
相手の会社に知れたら、下手すりゃ訴訟モンだぞ」
「そんなもん、いちいち大騒ぎせんでも文句言ってきたら電話代を払や~ええんでしょ~が!」
と当の妹本人は、済ましたものだったらしい。
こうした度重なるご乱行の数々で、オヤジも
「マリコはまだしも、レーコだけは到底、この家には住ませられん」
と、遂に離れから追放された。ところが、これでまだ話は終わらなかった。
にゃべっち家離れから、レーコ姉が追い出されたのとあたかも軌を一にするかのように、被害を受けた化粧品会社の方でも「異変」が起こっていた!
ちょうどこの頃から、いつも毒々しい厚化粧をしていた若い事務員の姿が、何故か見られなくなっていた・・・
その会社の代表者であるオバサン(といっても件の事務員が一人いただけの、個人の小さい会社である)と顔を見合わせた折りのこと。
「最近、オタクの事務員さんを見かけないが・・・?」
と、オヤジが軽い気持ちで何気なく問うてみると
「それがねぇ、ダンナさん・・・」
と声を顰め
「ダンナさんだから、恥を忍んで話すんだけどさ・・・」
とオバサン社長の口から「衝撃の告白」が始まった・・・
「あのコったら、酷い子なのよ。私が外廻りで出ている時に、事務所の電話を無断で使ってるのよ。勿論、私用もいいとこよー!
友達なんかに電話を掛け捲っていたのよ」
「ほー」
「前から、やけに電話代が多いなとは思ってたんだよー。私も忙しいから、ついついそのままにしてたんだけど、今月なんてン万円もあったんだからビックリじゃない!」
「・・・」
「まったく近頃の若い娘ときたら、本当に非常識だから困っちゃうわ!」
次第に青ざめてきたオヤジの顔色にも気付かぬかのように、機関銃のようなお喋りオバサンの愚痴は、延々と続く・・・
「それでさー、頭に来たからこの前、問い詰めてやったのよー!
そしたら、なんて言ったと思う?」
(;-_-;) ウーム
「『確かに私用で時々、使ったことは認めます。でも絶対に、そんな金額になるまでかけた憶えはないですー』
ってのよ!
『なにをバカな事を!
ここには、私のほかアンタしか居ないでしょーが!
そんな見え透いた嘘を吐くものじゃないよ、この泥棒猫が!』
っと言ってやったさ」
(゚_゚i)タラー・・・
「それがあのコったら、どこまでも往生際が悪いったらありゃしないのよ。
『そんなの知りませんよー。じゃあ、社長が掛けたんでしょ!』
って!
ホント、どこまで厚かましいやら ∑( ̄皿 ̄;;キィィィィィィィィィィィ!!!
ええ、当然よ・・・即刻ヒマを出しましたとも!」
無論、オバサン社長言うところのン万円という請求額の中には、レーコ姉が無断借用した幾らかが含まれていた事は、言うまでもないだろう。いや、もしかすると、マッハの報告を考えれば「幾らか」どころか、大部分が該当していたかもしれない。
が、このような展開になれば、いかに真面目人間を絵に描いたようなオヤジとはいえ、商売人としての体面が何より大事である。たまたま巧い具合に、不良事務員の犯罪に埋没してしまった形のレーコ姉の犯行を、勿怪の幸い「去るものに口なし」とばかり、件の消えた事務員に責を負って貰う腹を決め込んでしまった ゞ( ̄д ̄;)オイオイ
こうして札付きの悪党らしく、どこまでも悪運の強いレーコ姉の恥曝しな犯行は外部に漏れることなく、密かに闇から闇へと葬り去られたのであった (メ-_-)ノ~┻━┻ポイッ
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