「第三の事件」と同じく、まだにゃべっちや姉ミーちゃんが小学生の頃の話で、つまりにゃべっち家に7人が住んでいた大所帯の時代だ。マリコ姉、レーコ姉がまだ住んでいた頃の、この時代が最も「大事件」が多かったのは言うまでもない。
ところで、にゃべっち家は愛知県だったから、家族全員子供の頃から当たり前のように朝・夕の食事時には「赤だし」の味噌汁を食すのが慣わしとなっていた。「第三の事件」では、大人数が風呂に入るために都度追い焚きをしなければならないことを書いたが、これは食事時の味噌汁も同じことである。それぞれ生活リズムが違うだけに、食事時間もまちまちだから、一家揃っての食事というのは正月以外には記憶になかった。
その日も仕事から帰ったレーコ姉が、味噌汁を火に掛けていた。一家の中で最もズボラな性格のレーコ姉はこの時、台所の隣のリビングに居た母とのお喋りに熱中して、味噌汁の鍋を火に掛けたこともすっかり忘れていた。リビングには、にゃべっちとミーちゃん、また台所にはマッハがいたが、近視のマッハはいつものようにブラウン管にくっつくようにして、テレビでお笑い番組を見てバカ笑いをしていて、視界に入っていない味噌鍋のことなどは、まったく念頭になかった。ずっと火に掛けられたままの味噌鍋が、時間が立てば煮えくり返ってくるのは理の当然で、遂に沸騰を通り越して火炎が上がった (/||| ̄▽)/ゲッ!!!
リビングにいながら、ちょうどコンロが見える位置に座っていた、にゃべっちが慌てて火を止たものの、火炎は収まらない。母が離れの店舗にいたオヤジを呼びにいき、押っ取り刀で駆けつけたオヤジが消火器で火を消し止めて、なんとか間一髪で事なきを得た。
オヤジから特大のカミナリを落とされたレーコ姉は、例によって往生際悪く
「私じゃないよ・・・マッハが火に掛けたんでしょ」
と言ったから、アホ番組に笑い転げていたマッハも
「オマエだろーが!
人のせいにするな、バカヤロー!!」
と、珍しく大激怒。レーコ姉の理屈では
「オマエは台所に居たんだから、そのくらい気付け、アホ!」
ということらしいが、いつも異常なまでの大音量のテテレビに噛り付くようにしているマッハは、この異変にはまったく気付いていなかったらしい。
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