2004/08/16

競泳&柔道W金(アテネオリンピックpart2)

ジュードー・ニッポン復活?
アテネ五輪・柔道競技で「ニッポン(イッポン)・ジュードー」が快進撃を続けている。初日からYAWARA&野村のW金という最高のスタートを切ったとはいえ、ある意味ではここまでは順当であり、問題は毎回尻すぼみになる2日目以降というところであった。2日目のこの日は横澤選手、内柴選手と男女ともあまり訊いた事のない名前が登場するとあって

2人とも、何でもいいからメダルに引っかかってくれればいいがな・・・)

といった程度で、実のところ大して期待していなかったというのが正直なところです。殊に横澤選手はともかくとして、内柴選手に関してはかなりの強豪が犇くといわれたこのクラスでは、メダルに手が届く事すら容易ではない、というのが大方の下馬評でした。が、蓋を開けてみればあれよあれよと言う間に快進撃を続け、なんと一気に頂点まで昇り詰めてしまったのだから、ご本人には真に失礼ながら驚きと言うしかありません。  

確かに、メダル候補と予想された強豪選手たちが対戦前に軒並み敗れていくという波乱もあったとはいえ、オール一本勝ちでの金メダルは計り知れない価値があると言えるでしょうし、前日の野村選手同様に籤運にも恵まれるなど一貫して運がついていたのも事実とはいえ、これとて実力が呼び寄せたものであると言っても過言ではないのでしょう。階級を上げるまでは野村選手という大き過ぎる存在の陰に隠れ、これまで国際舞台などではあまり出番が巡ってこなかった苦労の末の快挙だけに、喜びもひとしおであると同時に日本柔道の層の厚さを世界に知らしめた功績は、計り知れぬ大きなものがあります。

一方、女子の横澤選手の方は、最大のヤマ場と見られたキューバのサボンとの準決勝をどちらかと言えば終始押され気味の展開の中、最後の最後(残り一秒)での逆転の一本勝ちという、まことにもってこれ以上ないような劇的な勝利を収め、勢いから行けば一気に「」というムードを期待させましたが、決勝でチャイナ選手にあっけなく押さえ込まれてしまったのは、正直なところガッカリと言うしかありませんでした。これに勝っていれば2日連続で「金独占」という前代未聞の快挙になっていただけに、力の出し切れないままに終わってしまった試合内容も含め、返す返すも惜しまれてなりません。

しかしながら、これで柔道は2日間4階級を終えて「金3、銀1」という快進撃。当初の予想では、全14階級で金が 最低で4つ、最高で6つくらいだろうという感じでしたが早くも3つを獲得したのだから、これからは厳しい階級が続くとはいえ「ジュードー・ニッポン復活」に向け、最後までこの快進撃に期待したいものです。

競泳
国民的ヒロインの柔道のYAWARAさんに次いで、ニッポン選手団の中で金メダルの期待が大きかったのが、競泳の北島選手でしょう。柔道勢に関しては、金メダル候補はYAWARAさんを筆頭に井上選手、野村選手と何人かは名前が浮かぶところですが、柔道以外の個人競技での金メダル候補となると数少ない中でも、やはり真っ先に頭に浮かんで来そうなのが競泳の北島選手です。

チャレンジャーとして望んだ前回のアテネでは、表彰台まであと僅かという4位と健闘を見せる鮮烈なデビューを飾り、その後の目覚ましい躍進ぶりからある意味では本命視されるプレッシャーの中で、厳しい戦いの日々を送った末に迎えたのがこの桧舞台でした。得てしてこれまでにも、こうして大きな期待を背負って五輪に臨みながら、プレッシャーに押しつぶされて実力を発揮出来ぬままに、スゴスゴと人目を憚るようにして帰国して来た選手の名前を論っていけばそれこそ枚挙に暇がないところですが、この北島選手に限ってそれはまったく愚かな杞憂に過ぎませんでした。また本番直前になって、彗星のように登場して来たアメリカのハンセンという強敵の出現によって、かなりの確率で有力視されていた金メダルに暗雲が漂い始めるという、まさに出来過ぎたドラマのような筋書きで本番を迎える事となります。

しかしながら結果は「ハンセン有利!」という下馬評の中で、終始主導権を取った北島選手が会心のレース運びを披露して、見事に公約通りの「」を捥ぎ取っていったではないですか。直前になって世界記録を立て続けに塗り替え、一躍「金」の最右翼とされがらも「ここ一番では案外に脆いぞ・・・」といった風評も訊かれたハンセン選手に対し、北島選手の方は前回五輪での経験に加え、持ち前の大舞台での集中力と勝負度胸の素晴らしさ、そして4年越しの「」への執念を見事に証明するような、どんなヒネクレ者の目にも文句のつけようのないくらいに完璧に近いレース展開だったと言えるでしょう。

このレースから見て取れるのは、北島・ハンセン両者の実力の差は殆どないという事であり、と同時に本番での力を発揮する精神力その他諸々の条件においては、新鋭のハンセン選手は北島選手に比してあらゆる面で少なくとも「指一本くらいのタッチの差」があったのは厳然たる事実でしょう。そうした点から敷衍するなら、元々この100mよりは200mが得意とされる北島選手の「競泳二冠」という、とてつもない快挙の可能性は現状における論理的帰結としては、かなりの高確率で期待出来るものと思われます。

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