2004/08/29

J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲(第4番)



 演奏に関わる問題は、作品にも幾ばくかの影響は与えている。なぜならヴァイオリンの無伴奏組曲と比べ、6曲全てが定型的なスタイルを守っている。またヴァイオリンの組曲は、シャコンヌに代表されるように限界を超えるほどのポリフォニックな表現を追求しているが、チェロ組曲では重音や対位法的な表現は必要最小限に限定される。

 もちろんチェロとヴァイオリンでは、演奏に関する融通性が違うため単純比較はできないが、演奏者に関わる問題も無視できなかったのではないか。今日では傑作とされるこの作品だが、カザルスが古道具屋で偶然に楽譜を発見するまで、実に約200年間埋もれていた、という話は有名だ。それとも真に優れたものは、どれほど不当な扱いを受けていても、いつかは広く世に認められると言うことの例証とでも言うべきか。

 当初は練習曲としか看做されていなかった、この曲の良さに着目したカザルスが、10年も練習して弾きこんで世に出したのである。しかも13歳の時にバルセロナの楽器店で、この楽譜を発見して着目したというのだから、カザルスもまたとてつもない天才と言える。

4番 変ホ長調 BWV1010
2分の2拍子。広い音域を上下する分散和音が繰り返されながら、次第に短調に傾いていく。後半は細かい音型や重音を織り交ぜながら劇的になる。全曲中でも抽象性を強く印象づける曲。
出典 Wikipedia

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