2004/08/22

ゴトーの野望?(高校生図鑑part2)

 ゴトーとは、あたかも不思議な運命の糸で結ばれていたかのように、奇妙な縁が付きまとった。

ゴトーによれば、2人の最初の出会いは『B小』1年生の時。

15組の同じクラスの時は、よく一緒に遊んだよなー」

という事だったが、正直まったく記憶がない。1年生といえば、マサやムラカミらとはしょっちゅう遊んでいた記憶は鮮明だったが・・・もっとも、当時の新興住宅地の鶯山の坂が急だったために、自転車で登る楽しみがあって誰彼ともなく遊んでいた記憶はあるから、或いはその内の一人にゴトーが含まれていたのかも知れない。

にゃべの気憶に、ゴトーが登場してくるのは小学3年生の時だ。この年はムラカミらとともに、殆んど毎日のように鶯山のゴトーの家に遊びに行っていた。

このころのゴトーは、特に大人しい子供というわけではなかったが、何故かいつも悪ガキたちのからかい(決して「イジメ」ではない)の対象だった。そんな風でにゃべにとってのゴトーは、ムラカミやマサのような親しい友人という濃密な関係ではなく、あくまで見下す相手だったから、その後はパッタリと遊びに行く事もなくなった。だから、その姿が『B小』からいつの間にか消えていたのにも、まったく気付かなかった。

家庭の事情から、知らぬ間に鶯山の高台から南に数km離れたニュウータウンに引っ越し、少年ゴトーも当然の事ながら転校していたらしかった。

そして約3年後、中学生となったにゃべの前に再びゴトーが姿を現した。が、その時は、かつてのからかいの対象だった小学生時代のゴトーとは、まったく別人に変身していたから、こちらの感覚では「かつての(記憶に薄いゴトー)」というよりは「初めて見る『C中』の優等生」という感じしかなかった。生徒会長でありながらスポーツも万能、加えてケンカにも強い人気者と、いつの間にやらにゃべそのもののようなスーパー中学生へと変貌を遂げていた。当時、自転車で颯爽と通学して来ていたゴトーは背も伸びて、見上げるような大男になっていた。

ところで、ゴトーといえば無類の女誑しとしても有名である。あの才色兼備の真紀には、小学時代から既にさかんにちょっかいを出していた、という噂もあったくらいで「ゴトーの女誑し」などと嫉妬した女生徒から、こう憎まれ口を叩かれると

「英雄、色を好むってやつよ・・・」

などと、ヌケヌケと嘯いていたらしい。こうして久々に同級生となり、また同じサッカー部員となりながらも、中学2年からは新設された『C中』に転出していったため、僅か1年でまたライバルとして袂を分かつこととなり、サッカー部での対戦を重ねるなどの経緯は、かつてご紹介して来た通りである。

その後は、同じく『B中』を去っていった真紀の事はしっかりと記憶に留めながらも、ゴトーの存在などはサッカーの大会の時以外はキレイサッパリと忘れていた。そんなにゃべの前に、再び復活してきたゴトーであった。

 「オイ、にゃべ!

また、一緒になったなー。どうも、オレたちは「奇縁」というヤツだな」

「にゃはは・・・ホントだな。オマエ、また途中で消えるんじゃねーのか?」

(≧∇≦)ブァッハハ!

今度は、消えねーと思うぞ・・・多分」

何しろ、稀代の女誑しだけに『C中』時代にも、やはり真紀を始め何人かの女生徒と浮名を流して来ていたらしかった。

「それはそーとな・・・オマエに関して、オレの地獄耳には色々と良からぬ噂が耳に入って来ているんだがな・・・」

と、それとなく最も気がかりな点を質すと

「いきなり事情聴取かよ・・・んで、どんな噂が?」

と、ゴトーは何故か嬉しそうに身を乗り出してきた。

「うむ・・・例えばだ・・・オーミヤとの関係は、どーなんだ?」

それとなく、最も気がかりな点を質すと

「ナヌ、オーミヤだと?

そりゃ単に、生徒会で一緒にやってたからだろーが?」

などと惚けていたが、その顔は満更でもなさそうなのだった。それとなく感じたところでは、惚れっぽいゴトーの方が熱を上げ、対する真紀の方もいつもの冷静さを保ちつつも、案外満更ではなさそうにも見えた。もっとも最初の出会いから『B中』で送った1年間に限って言うならば、真紀がゴトーよりも遥かに自分に惹かれていた事だけは明らかと言えたが・・・

さてさて、ルックスでは「A高三大美男」に数え上げられるにゃべには、まったく比較の対象外ではあるものの、他の能力においてはいずれもが今やゴトーが自分と肩を並べて来ていたことは疑いがない。それだけに、かつてのように片手間(どころか指二本くらいか)で、適当にあしらっているわけにはいかなくなった。

そして皮肉な事に、このゴトーが『C中』では、にゃべと同じサッカー部に所属し、しかも花形ポジションのセンターフォワードで活躍していただけに、この『A高』サッカー部においても、いずれ最大のライバルにとして立ちはだかってくるという、歓迎したくもない現実が待ち受けていた。

さらに同じクラスになったこの年の半ばには、あの千春に露骨なちょっかいの触手を伸ばし始めた。

はてさて、これは或いはかつて頭の上の重石のような絶対的支配者として、己の前に君臨していた《神童にゃべ》に対する、メラメラと燃え盛る復讐心のなせる業なのか?

はたまた邪気のない、単なるお調子者の女誑しという嗜好の現れに過ぎないのか?

いずれにせよ、すっかり見上げんばかりの大男に逞しく成長したスーパー高校生として、再びにゃべの前に立ちはだからんとするゴトー。そんな波乱含みの中、にゃべとゴトーのライバル対決の火蓋が、再び切られるのか?

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