2005/05/14

モーツァルト 交響曲第25番(第4楽章)

 

 シュトルム・ウント・ドランク=疾風怒涛は、1770年頃にドイツの文学を軸とする芸術分野で起った運動で、激しい感情表現を目指そうとするものだった。

 

 ゲーテやシラーが中心となり、反理性的で極端に主観的な判断に重点をおいていることが特徴である。音楽界にも強い影響を与え、特にオペラ分野がその影響を受けた。モーツァルトもまた、この疾風怒涛の影響を受けて、交響曲第25番を作り上げた。

 

17歳の若きモーツァルトが作曲した交響曲第25番は、まさに疾風怒涛=シュトルム・ウント・ドランクの影響を受けているといえる。

 

1楽章は、いきなりおどろおどろしいフレーズで始まる。迫力のあるフレーズが続き、オーボエの旋律が恐ろしげな曲だと揶揄する人もいるほどである。

 

2楽章こそ静かな落ち着ける構成になっているが、第3楽章はメヌエットでありながら、それを聞いて踊る事なんてできない雰囲気の3拍子の作りである。

 

そして第4楽章に至っては、急速な感じで不安定さがあり、最後の最後まで気の許せない作りになっていながら、それでいて全体的にしっかりとまとまって、まさに疾風怒涛=シュトルム・ウント・ドランクなのである。この曲を聴いていると、若きモーツァルトの青春と煮えたぎる情熱を感じることができる。

 

シュトルム・ウント・ドランクは時代の流れだが、モーツァルトは時代の流れを掴むのを得意としていて、この交響曲で見事にそれを表現しきったと言える。


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