愛知県は有名な「ドケチ王国」である。愛知県の「ドケチぶり」は、東京、大阪と並ぶ三大都市圏の名古屋があるにもかかわらず、私立校が極度に少ないことに顕著に表れていた。
東京や横浜辺りの首都圏は言うに及ばず、関西圏も京都、大阪、神戸の三都にエリート養成の進学校や、金持ちのボンボンやお嬢が行く私立校は山ほどあるが、名古屋に至っては比較にならぬほどで、実態は「0」に近かった。
首都圏や関西圏の私立校は、総じて偏差値の高い学校が多く「成績優秀な者が通う」イメージが強いが、名古屋では偏差値の高い私立校は殆どない。一般的に大都市圏では「私立超進学校⇒公立進学校⇒公立下位校⇒私立下位校」という序列になるものだが、名古屋の場合は「優秀な者は、迷わず(月謝の安い)公立校に入れる」のが常識だ。わざわざ月謝がバカ高い私立校に入れるのは酔狂な真似で、私立校はあくまで「公立に入れない者が仕方なく入る」という位置付けなのである。そのため私立校の数自体は少なくはないが、殆どが「公立に入れない者のための受け皿」として用意された低レベル校ばかりだった。
実際に金持ちの優秀な子どもで、敢えて公立ではなく私立に行くのは男子の『東海』、女子の『金城学院』、『椙山女学園』、或いは近郊で共学の『滝』といった、ほんの一握りの「例外」のみである。
この独特の「名古屋文化」は、もちろん大学受験についても同様だ。首都圏の早慶や上智、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)、或いは関西圏の関関同立(関大、関学、同志社、立命館)などは評価が高い人気の大学だが、名古屋圏ではそれに該当する私大は皆無である。なぜなら「(月謝の安い)国公立大に入るのが親孝行」であるから、優秀な学生はまず国公立大進学を目指し、高校と同様に私大はあくまで「国公立に入れない者が仕方なくいくところ」という位置付けなのである。
その証拠に名古屋の私大では最も偏差値が高く、名古屋のど真ん中という好立地にキャンパスを構える『南山大』と言えど、富山、福井、山梨辺りの田舎の国立大に受かった場合、どっちに進学すべきか迷ったりするケースも珍しくない。いや、迷うどころか私立大学に入るくらいであれば、どんな田舎のマイナーなところであっても「金の掛からない国公立大」を選択するのが基本とも言えた。
名古屋を始めとした愛知県内に偏差値の高い私立校が殆ど存在しないのは、このような「ドケチ王国」に住む人々のメンタリティが、ハイレベルであっても「金のかかる」私立校を求めないためであったからと思えた。
このように「ドケチ王国」愛知では、私大は「国公立大には入れない者が行くところ」という位置付けであるから、実際に入学する者は少ない。また田舎意識が強いため、県外に出たがらず地元の大学に入りたがる傾向が殊のほか強く、地元の大学は県外の大学に比べ総じて1~2ランク高い評価を得られた。
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