京都の大学への入学が決まり、18年間住み続けたA市から離れる事になったにゃべ。
(また帰って来る事があるのか、それとももうしばらくは帰る事はないのか・・・)
と引越し準備に入ろうかという矢先に、ムラカミから電話が入った。
「よー、にゃべ!
今から、ちょっと出て来られねーか。実は、マサと一緒なんだ」
「マサって、あのマサか・・・?」
「そうそう・・・マサが、オマエに逢いてーつーから」
と突然の呼び出しがかかり、指定の待ち合わせ場所へ赴く。マサとは中学以来、3年ぶりの顔合わせだ。
「よー、久しぶりだなー」
「オーオー、オマエも変わんねーな。ま、ともかくどっかに落ち着いて、ゆっくり話そうじゃねーか・・・」
と、マサの車で近所のCafeへ。時期が時期だけに、テーブルを囲むや早速受験の話になるのは、仕方がない。
「おい!
オマエ、X大に受かったんだってなー、スゲーな!」
「まあな・・・ちょっと本気出しちゃってな・・・」
「憎たらしいやっちゃな。オメデトウ言ったろう思ってたけど、止めたわ」
「そういうオマエこそは、どうだったんだ?」
「オレは学院だからな・・・ちょっと遠くなるが、まあ通学さ。ムラも通学だよな?
てことは、オマエだけが京都か・・・」
「そうそう・・・そういやグリとかは、あれからどうなった?」
「グリは相変わらず、野球ばかりやってたな。一般入試でC大の体育に入ったとか訊いてたが・・・カワイ(サッコ)のヤローはS短期(女子大)らしい・・・ま、なんにしろ、やっとアイツからは開放されたわけだ」
「にゃるほど・・・ところで、こうして『B中』の連中と逢うのも最後だろうから、グリも呼んでシモッチの家にでも押しかけるか?」
と話が決まったものの、電話をかけるとオグリは不在だった。
そこで、かつての悪友トリオはマサの車でシモッチの家へ乗り込むと、珍しくシモッチの父が出迎えて来た。
「よー、珍しい連中が来やがったな・・・「にゃべは、X大だって。やっぱ大したもんだな。それにムラカミもN大とは、さすがだね」
どこから訊いたか、さすがに情報は早い。
「にゃべは、まったく受験勉強もせんと、ようX大に受かったな」
「まあ、やっぱX大くらいに入るとなると、地頭が違うんだろうな。しかし、マサのA学院ってのは、実にもの足らん・・・」
などとさすがに職人だけに、ガラが悪い上に遠慮がない。
(大きなお世話だ)
「まあ、あのオヤジは大学の事などちっともわかっとらんから、マサも気にすんなや・・・」
と、すかさずフォローするシモッチ。そのシモッチ自身はといえば『A工業高』から、電気関係の専門学校に進む事が決まっていた。
「てーことは、にゃべだけが京都で、後の3人は自宅通学かよ」
「しかし、にゃべはええなー・・・京都に下宿して、新生活かー」
という、マサのボヤキが耳に残った。
数日後の事。今度は卒業前の約束に従い、ムラカミ&シゲオと悪友トリオが再会した。
「あー、ええなー。オマエは、京都で下宿生活か・・・」
「だったら、オマエも『W大』に行きゃあ良かったんだ」
「オレも『W大』に行きたかったんだけどな・・・親が煩くてな・・・」
と、ぼやくムラカミ。
「そうそう・・・オマエが『W大』に行ってりゃ、東西と真ん中で折角いいバランスだったのになー」
「シゲオも名古屋だし、あんまり変わり映えしねーな・・・」
「N工とN大って、割りと近いんだろ?」
「そういや『名大』も結構、田舎だったよな」
「オマエだけ、天下のX大に受かったからって威張るなって」
「いや全然、威張っちゃいねーが」
「大体、オマエがX大に合格ってのは、世の中くるってるとしか思えんっつーか」
などといった調子で、ボロカスの遣り合いはどこまでも続いていった(* ̄m ̄)ブッ
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