主部の最初で、オーケストラのトゥッティ(総奏)がロシア的な性格の旋律を歌い上げ、その間ピアノはアルペッジョの伴奏音型を直向きに奏で、長い第1主題の呈示が終わると、急速な音型の移行句が続き第2主題が現れる。
第1主題がオーケストラで現れるのに対し、より抒情的な第2主題はまずピアノで登場し、第1主題の伴奏音型から移行句まで、急速な装飾音型を奏で続ける。これらの音型はしばしば鈴と誤解されやすいが、ロシア正教会の小さな鐘を模している。
劇的で目まぐるしい展開部は、楽器法や調性を変えながら両方の主題の音型を利用しながら、この間に新たな楽想がゆっくりと形成されていく。展開部で壮大なクライマックスを迎えると、恰も最初から繰り返しそうになるが再現部(Maestoso)は、かなり趣きが異なり、ピアノの伴奏音型を変えて第1主題の前半部分が行進曲調で再現された後、後半部分はピアノによって再現され、第2主題は移行句なしで再現され入念にコーダを準備する。
第1楽章のピアノ独奏で特徴的なのは、第1主題の主旋律の進行をオーケストラ(特に弦楽合奏)に完全に委ねている点だ。ピアノの演奏至難なパッセージの多くが、音楽的・情緒的な必要性から使われており、しかも伴奏として表立って目立たないこともあり、聴き手にピアノの超絶技巧の存在を感付かせず、あくまでオーケストラのオブリガート(助奏)的な役割に徹することで、時には室内楽的な、時には交響的な印象を生み出すのに役立っている。
出典Wikipedia
ラフマニノフは身長192cmに加え、マルファン症候群という遺伝病に起因した巨大な手を持っていた。普通の大人はピアノの鍵盤のドからオクターブ上のレ、つまり9度くらいが平均的な手の大きさとされるが、ラフマニノフはドからオクターブ上のソまでの12度が届いた。また関節の柔軟さも特異で、左手の小指ド、薬指ミ、中指ソ、人差し指ドと押さえた上で、なんと親指は小指の下のシを押さえることが出来たと伝えられ、その演奏はモノラルだが現在でも聞くことが出来る(You Tubeなどにもある)
こんな特異な体質の持ち主が創った曲を弾かなければならないのだから、後世のピアニストにとっては大迷惑な話だが、ピアノ協奏曲第2番も多くのラフマニノフのピアノ曲と同じく、ピアノの難曲として知られ極めて高度な演奏技巧が要求される。例えば、第一楽章冒頭の和音の連打部分において、ピアニストは一度に10度の間隔に手を広げることが要求されており、手の小さいピアニストの場合はこの和音塊をアルペッジョ(和音の各音を同時に奏さず、下または上の音から順次奏していく演奏法)にして弾くことが通例となっている。
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