明日香
『A高』一のアイドルだった明日香は、300番台が定位置だったらしい。いくつかの次第を受験し、落ちたりしながら最終的に地元では人気の高い『C大』に落ち着いたようだ。
誰もが認める『A高』一のアイドル・明日香の周囲には、常に男女の別なく多くの学生が群がっていた。2年生の時は、同じ『A組』になり何度か話す機会があったが、とにかく底抜けに明るい性格であり、ただ居るだけで周囲の人間を楽しい気分にさせる才能は誰も彼女に適わない。
150cmにも満たないという学年でも有数の小柄ながら、その存在は大きな太陽のように光り輝いていた。
カオリ
体操部の華・カオリは、インターハイ2年連続の活躍で、スポーツで優秀な成績を修めた学生が全国から集ってくる『C大体育学部』から、推薦のお誘いがかかった。そのまま『C大体育学部』に進学したのは間違いない。
『A高』で過ごした3年間は、充に楽しかったから欲をいえば際限ないが、美少女筆頭の淳子とカオリと同じクラスになれなかった事、「ヴィーナスのような美しさ」と評された彼女の演技が生で見られなかったのは、なんと言っても最大の心残りであった。
千春
千春の受験は、私大は幾つかの音楽学部、公立が『県立芸術大・音楽学部』だったらしい。いずれも、音楽に興味のない自分のような無粋な学生には、あまり聞いたことがない名前ばかりだった。
で、当然、『県芸』へ行くものと思っていたが、予想に反して『K女学院大』へ進学する事に。
「にゃべとは、ちょっと近いかな?」
「えっ?
近いって、どこが?」
「私、K女学院だから・・・」
「K女学院ってのは神戸?
京都から近い?」
「ううん、神戸って名前だけど、実際は西宮なんだ」
「西宮といや、甲子園があるところじゃねーか・・・あんま、近くもねーが。まあ、関西という事では同じだが」
「京都だと、結構近いんじゃない?」
「んじゃ、満更デートのチャンスもないわけではないと・・・」
「何いってんの、バーカ!
京都には、かわいい子が沢山いるよ」
「そりゃ、そーだ・・・楽しみやなー」
と、期待に胸を馳せるにゃべ。頭の中は、早くも関西の空に飛んでいた? ヽ(´ー`)ノ
マチャ
小学生時代の神童と、ガキ大将のような存在だった2人が仲良くなったのは、中学になってからである。ともに女好きで、片や校内一の美少年にゃべ、もう一方は苦みばしった大人びたマスクのマチャ。
中2で同じクラスとなった2人が、ともに狙ったのは美佳であった。美佳を巡る二人の鞘当てはしばし続いたが、美佳に対する恋心がより強く、また人間的にもにゃべよりは単純に出来ていたマチャの盲目的な恋は、美佳に対しても冷静な観察眼を失う事なく、また悪戯好きなにゃべらの格好の餌食となる結果に。便乗したムラカミやマサ、シモッチ、イモら悪友たちに、いいようにおもちゃにされてしまったマチャであった。 プププッ(^m^)
しかしながら、打たれ強さは誰よりもピカイチのマチャは『A高』でも明日香、カオリらを手当たり次第に口説いて廻っていたらしい。
(陸上部で忙しいのに、相変わらずタフなヤローだ・・・)
と呆れていたところ、ナント
(マチャとカオリが、いい関係になっているらしいぞ・・・)
という噂が聞こえて来たから驚いた ( ゜ ▽ ゜ ;)エッ!!
(あのカオリと・・・まさか・・・?)
あのクールでプライドの高そうな感じのカオリが、マチャのようなお調子者を相手にするわけがない。ただの無責任な噂だろうとタカを括っていたが、親しげに談笑をしている姿を目にした、という目撃談が何度も聞こえて来たところを見ると、あながち噂だけではなかったかもしれない。
が、冷静に考えればマチャも結構な男前であるし、なおかつ陸上部で活躍するバリバリのスポーツマンで、180cmを超える逞しい陽に焼けて鍛えられた肉体と、女学生には間違いなくモテる要素を多く備えたタイプである事は間違いないのである。
高校に入ってからは、すっかり絡みがなくなったマチャだったが、受験では『C大体育学部』と『T大体育学部』に合格したのは、新聞発表で目にしていたから、先の噂が本当であればカオリと同じ『C大体育学部』へ仲良く進学となるのだろうか。
小夜子
国立の『A教育大』受験を知った時は、イメージが違う気がして少し驚いたが、新聞発表を見ると「幼稚園教員課程」となっていて、思わず納得。思えば香同様、小学3年生で一目惚れして以来、10年という長い学生生活をともにし、なにかと不思議な縁のあった小夜子とも、とうとうお別れだ。
みどり
陸上部エース・みどりも国体800m入賞が評価され、カオリと同様に『C大体育学部』に推薦された。みどりの成績は窺い知る事は出来なかったが、推測では真ん中よりやや下辺りに位置していたのではないかと思われた。陸上部で毎日夜遅くまで練習に暮れ、あれだけの好成績を収めた事を差し引けば、学業の方もなかなか頑張っていたと言える。進学先は、結局わからずじまいに終わった。
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