第1楽章:第1場より「ロシアの踊り」
第2楽章:第2場より「ペトルーシュカの部屋」
「ペトルーシュカ」は、最初はピアノ協奏曲として構想されていただけに、煌びやかなピアノが重要なパートを担う管弦楽曲として作曲された。その後、ショパン弾きとして非常に高名だったアルトゥール・ルービンシュタインが、ストラヴィンスキーに
「オレのために、世界一難しい曲を書いてくれ」
と依頼したことがもとで、10年前に完成していた「ペトルーシュカ」から、ピアノパートを中心に3つの楽章に編曲されたものが、このピアノ独奏版である。
この曲は、ピアノ独奏曲としては最高峰に難しい作品となっており、依頼したルービンシュタインでさえも多分弾けなかった、というほどの殺人的技巧曲となった。
一般的には演奏の難度があまりにも上がりすぎると、それに比例して曲が面白くなくなってしまう場合が多いようだが、この曲は難度が高いにもかかわらず曲自体に非常に起伏があり、めまぐるしい展開、ドラマティックかつ美しいという、奇跡のような最高のショーピースとなっている。ピアノ一台だけで、これだけのエンターテイメントと殺人的技巧を盛り込める音楽は、滅多にないといえる。
一般的に、ストラヴィンスキーの音楽は「非常にわかり難い」と言われるが、この曲に関しても作曲者の意図は、やや分かりづらいところは確かである。それでも、煌びやかなオープニングから全編演奏効果の高い内容で、ストーリーを知らずに聴いているだけでも、充分に楽しめる曲である。
この曲を語るのに外してはならないのが、天才と言われた名ダンサー・ニジンスキーの存在だ。若い彼にとって、この『ぺトルーシュカ』が当たり役となり、綺羅星のような数多くのスターを抱えていた、ディアギレフ率いる「バレエ・リュッス(ロシア・バレエ団)」の中における最大のスターとして、スターダムへと伸し上がっていった。踊りばかりでなく、振り付けなどにも手を染めていく事になっていく。
こうして、ストラヴィンスキーのバレエばかりではなく、バレエ・リュッスの大黒柱として大活躍をして来たニジンスキーが世に出たのは弱冠20歳の頃だったが、不幸な事にそのわずか数年後に精神の病に罹ってしまう。
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