さて《肝試し》が始まるや、さすがににゃべっちとカツトシ君は「お化け屋敷」の常連だけに、闇に眼が慣れるのが早い。
初体験による「お化け屋敷」の恐怖と、闇に視界を奪われ怯え気味に立ち往生する女子達は、悪ガキの前に投げ出された生贄も同然である。
なかでも執拗にターゲットとされたのは、言うまでもなく早熟少女・百合子ちゃんだ。
というよりは、そもそもこの企画は最初から百合子ちゃんをターゲットにしたもので、その他大勢は「枯れ木も山の賑わい」の目くらましに過ぎなかった。
闇にまぎれた百合子ちゃんへの攻撃は次第に大胆さを増していき、最早「スカートめくり」というレベルを超えようかというところまでエスカレートしていた。
にゃべっちの大胆な計画を聞いたある男子は
「そこまでやるか・・・やばくね?」
と尻込みしそうだったが
「あれだけ執拗にターゲットにされながら、まだノコノコと出てきているんだから、アイツだって楽しんでいるはずなのだ。
本当に嫌だったら、そもそも来るはずがない」
と勝手な理屈を振り回す。
悪童カツトシ君に至っては
「やるのは、オレに任しとけ」
と腕を撫していた。
が、ここに「神童の誤算」があった。
ハメを外す中にも、一定の冷静さを保っていた二重人格の神童とは違い、悪童の方は元々の構造が単純だけに、この異常なシチュエーションにすっかり興奮してしまっていた。
実際には「誤算」と言うよりは「誤算」という名のオブラートに包んだ期待感は持ってはいたものの、悪童はさらに予想を上回るとんでもない暴走をやらかしてしまった (
゜ ▽ ゜ ;)エッ!!
その瞬間、にゃべっちにも負けないほど、女子では最も大柄なソフト部のエース百合子ちゃんから、渾身のカウンター(ビンタ)が、カツトシ君の頬に飛んだ!
(次は、オレか?
ここは、おとなしく殴られておこう・・・)
と覚悟を決め、目を閉じたその時・・・
。・゚゚ '゜(*/□\*) '゜゚゚・。 ウワァーン!!
さしも激昂した百合子ちゃんも「神童」には手をあげられなかった悔しさからか、ガクッと崩折れる音とともに、ハスキーな声をあげて泣きだしてしまった。
「オー、イテーッ!」
百合子ちゃんの大きな手形で頬を真っ赤に染め、引きつった笑いを浮かべるカツトシ君と顔見合わせているうちに、女子達がバタバタと集まってきた。
「アンタたち、幾らなんでもやり過ぎでしょ!
ひど過ぎるじゃん。
謝りなさいよ。
先生に言いつけてやるからー!!」
この企画には乗ってこなかった女子のリーダー格・奈津子に代わり、気の強さで鳴るチナツを先頭にして、ここぞとばかり攻め立てる女子たち。
そして、迎えた翌日。
哀れ「主犯格」の悪童カツトシ君は担任から往復ビンタを喰らい、いよいよ神童にゃべっちも呼びつけられた。
「(「神童」と称される)オマエまでが、バカなことやっててどーする!
いつまでも(デキの悪い)カツトシなんかと一緒に遊んでいては、オマエもそのうちダメになるぞ!!!」
自身、親からの抗議を何より恐れていた若い担任教師の
「いいか・・・もう一度やったら、今度は親に全部ばらすからな」
という脅し文句が効いて、一度は泣く泣くスカートめくりを封印した、にゃべっちであった。
「カツトシのバカは今更だけど、どーせ黒幕はにゃべなんでしょ?」
と憎らしい奈津子に釘を刺され、しばらくは身動きが取り辛かったものの、ほとぼりが冷めた数ヵ月後には、性懲りもなくこっそり再開していた (*^m^*)ぶはは
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