2003/09/19

J.S.バッハ 前奏曲とフーガ イ短調 BWV543



 バッハの数あるオルガン自由曲の中でも音の動きが美しく、とりわけ人気の高い名曲である。

比較的短い前奏曲は不協和音が効果的に登場し自由に展開されるが、 後に続く均整の取れたフーガにより、曲全体が引き締まっている。
http://expiano.org/piano/bach/index.shtml

前奏曲は比較的小規模だが、情熱的な気分、鋭い緊張、不協和音に満ちた大胆なものである。

ペダルの保持音上で、トッカータ風の速い音の動きが続く。

ラプソディックな中間部の後、再度情熱的な高まりを見せて前奏曲部の終曲を迎える。

後半のフーガの主題は、前奏曲の主題と関連がある。

このフーガの原型は、ケーテン時代の『クラヴィーア・フーガ イ短調BWV.944』で、さらにパッヘルベルやコレルリの曲にまで遡ることができる。

前半の前奏曲とは対照的に、静かな情緒を湛えている。

主題は4声部のフーガに展開され、終結部はトッカータ風に変わり、前奏曲の情熱的な気分を思い出すかのように曲が終わる。

 ≪この作品を称して「オルガンによる線の研究」とよんだ人がいました。

手鍵盤による単音のみで前奏曲の主題が提示されるのですが、その旋律の横へのラインをいかに美しく描き出すかに力が注がれています

それはフーガにおいても同様で、16分音符による横への動きがメインとなっています。

リストがピアノ用に編曲しているのですが、その様な音楽の特性があったからでしょうか?

なお、前奏曲はヴァイマル時代に、フーガはケーテン時代に原型が作られてライプティッヒ時代に完成されたものと考えられています。

 ただし、その二つは全く異なる時期に作られながら、音楽としてはその二つが結びつくことで初めて一つの音楽として成り立つような、強い繋がりを持っています。≫

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