2003/09/15

神童vs怪童(全校ドッジボール大会・後編)



 「うぬ・・・顔に似ず、相当に手ごわいヤローだ・・・」

いよいよ本気を出してきたものの、誰のボールも素早いにゃべっちを捕らえることが出来ない。

焦った敵は、エースのシンカイにボールを集め始め

「早くアイツを仕留めろ!」

と躍起となったが、そうは問屋が卸さなかった。

そして、この大会のハイライトとなる「神童にゃべっちvs怪童シンカイ」の小学生とは思えぬような壮絶な頂上バトルが、いよいよ佳境に入る。

中学生のような大きな体から、火の出るようなボールを投じるシンカイ。  

しかしながら、それらをしなやかにかわしていくにゃべっちには、紙一重で当たらない。

後に「柳のようなしなやかさ!」と教師らから最大級の賛辞を送られたにゃべっちの動きは、あの「謎の猫少年以上に神懸っていた」と言われた。

 ボールを受けたシンカイは、ほんの眼と鼻の先の至近距離だ。

まさに、絶体絶命のピンチ!

舌なめずりせんばかりに、シンカイが視線を外さなかったが裏を読んだ。  

(目を見ながら、足元を狙ってくる・・・)

相手の手の内を読むと開脚ジャンプ一閃「奇跡の八艘跳び」、そして眼にも留まらぬスピードでヒラリと間一髪。

あたかも、五条大橋の欄干を飛び交う牛若丸を再現したかのような、身軽な身のこなしに

「あの4年生、神懸ってるぞ!!!」

と既に敵味方を超えて、見物に回った全校生徒から万雷の喝采を受けるにゃべっち

この声援が「神童」に、さらに大きな力を与えた。

不思議なことに

「オレは、あの『謎の猫少年』よりも鋭く動けるのだ!
誰のどんなボールも、オレには絶対に当たらない!」

という「確信」に支えられていた。

そのにゃべっちの「柳のようなしなやかさ」に、すっかり魅了された61組の女生徒たちの間では、いつの間にか「にゃべっちブーム」が巻き起こり、シンカイがボールを投じた時には悲鳴が上がるほど、異様なムードに包まれた ガンバレ~ o(´∀`;)o~

元々、逃げるだけの「謎の猫少年」とは違い、強力な攻撃力も持っていたにゃべっちだけに、当初は10人以上残っていた相手の6年生を次々に薙ぎ倒し、気付けば敵のコート内は5人まで減っていた。

神童」にゃべっちとともに、もう一人残っていたのがヒグチ君だ。

にゃべっちとは対照的で地味な存在ながら、これまたしぶといツワモノで神童の蔭に隠れながらも、6年生相手に一歩も引けを取っていない。

乾坤一擲とシンカイの投じたボールが、遂に神懸りのにゃべっちを捕らえる!

万事休す」と思われたところで、大きく跳ね返ったボールをヒグチ君が見事、ダイビングキャッチ。

まさに、九死に一生。

ボールはムラカミ君に繋がれ、41組期待の中、誰よりも親友のコート復帰を期待したにゃべっちだった。

が、果敢にもシンカイを仕留めに行ったムラカミ君のボールは、怪童に真正面から受け止められてしまい、ガックリしたところでシンカイ執念の一投の前に、神童遂に沈む (/||| ̄▽)/ゲッ!!!

残ったヒグチ君も続いて仕留められ「栄冠」は、するりと手から零れ落ちた

「決勝で負けてしまったのは、実に残念無念だ。
しかし上級生相手に準優勝は立派過ぎて、オレにはこんな嬉しいことはない。  
にゃべ、ヒグチらを始め、本当にみんな良くやってくれたなー」

と担任教諭から労われ、得意絶頂のにゃべっち。

これを契機として、姉ミーちゃんのクラスでにゃべっちブームが起こり、卒業するまでの間は放課後になると、ミーちゃんのクラスメートが教室の窓越しに  

「にゃべちゃん、こっち見てよー」


「キャアー、カワイイ。

女の子みたい」

などと散々にやられ、女生徒らから

「にゃべ、おねーさんたちにモテモテじゃん」

などと冷やかされたのには、随分と閉口したものだった ヽ(´―`)ノやれやれ

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