数多いJ.S.バッハ(以下バッハ)のオルガン曲の中でも特に人気の高い作品であり、ピアノで演奏されることも多い。
レオポルド・ストコフスキー編曲の管弦楽版もある(ストコフスキーが指揮した映画「ファンタジア」でも演奏されている)
とりわけオープニングは有名であり、喜劇などにもパロディ的に用いられることがある。
演奏時間は、8~12分程度。
名前の通り「トッカータ」の部分と「フーガ」の部分から成っているが、2つの別の曲をくっつけたのではなく、冒頭の有名な音型がフーガの部分でも使われているところからしても、2つの関連した部分からなる1曲とみなした方が良いだろう。
トッカータ部の演奏時間は3分足らずで、強烈な旋律で始まる。
トッカータ(toccata)というのは「自由な形式の、鍵盤(けんばん)楽器のための技巧的な楽曲」のことである。
この曲にも、自由に演奏されているような雰囲気があるが、全体的に急速であり重厚感を併せ持つ。
フーガ(fugue)とは一つ、あるいは複数の主題が次々と複雑に模倣・反復されていく対位法的楽曲。遁走曲の事。
この曲においては、4声体で書かれてはいるものの対旋律の性格が弱く、他のバッハのフーガと比べると比較的単純な構成になっており、楽想が絡み合うような濃厚なものではなく、強弱をつけながら連なり出会うといった簡素ものながら、重厚感は強い。
細かい音の動きが目立ち、優しい音色も聞くことができるが、曲全体としては非常に壮大であり、熱い雰囲気に満ちている。
演奏の難易度は比較的高めではあるが、他のバッハのオルガン作品と比較すれば、かなり平易と言える。
かつて、この曲はバッハの円熟期の大作であるかのように評されてきた。
しかし、バッハについての研究が進むにつれ、この曲がバッハの代表作と呼べるような代物ではないことがわかってきた。
最大限好意的に見て、若いころの習作といったところらしい。
二段の手鍵盤と足鍵盤の「オルガン・トリオ」は、オルガニストとして有名だったバッハが、当時得意にしていたと言われる。
足鍵盤の方は、主として重低音を出している。
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