秋の恒例行事「球技大会」、この年の男子はブームとなっていたサッカーに決まった(女子はソフトボール)
学年毎ではなく全校規模で行われた2年前の「ドッジボール大会」では、神童にゃべっち率いる4年1組が5、6年生を退けて決勝まで進む快進撃を見せ、大会の「台風の目」となったのは記憶に新しい。
従来の学年単位に戻った昨年の男子は「野球」が採用され、クラスとしては準優勝の好成績を収めたものの、ムラカミくんやマチャらの活躍の蔭に、まったく見せ場がなかった。
それだけに、小学校最後の「球技大会」となったこの年はリベンジの年である。
おまけに最も得意なサッカーに決まっただけに、気合の入りようも違った。
幸いにして我が6年3組には、これ以上は望みようがないというタレントが揃った。
まだ厳密な意味でのフォーメーションのようなものはなかったが、センターフォワードは勿論にゃべっちが務める。
エースのにゃべっちを筆頭に、野球クラブだがスポーツ万能のムラカミくんは、足が速くサッカーも上手い。
さらには、にゃべっちとともに「ドッジの神様」と恐れられたミグもいる。
ムラカミ君とミグとが、にゃべっちの両脇を固める。
にゃべっち、ムラカミ君、ミグのトリオの俊足は他とは段違いだけに、揃って攻撃をしながらもピンチにはディフェンスにも回るという八面六臂の活躍だ。
ムラカミ君とミグはサッカー少年ではないが、さすがはスポーツ万能型だけに付け焼刃とは思えぬほど、サッカークラブの選手以上のセンスを見せていた。
これだけの飛び抜けた役者が3人揃えば、勝てない方がおかしい。
準決勝までは圧勝が続き、決勝はにゃべっちとともにサッカークラブのエースを務めるヒコ率いる1組との対決だ。
「エースが3人もいるチームが相手なんて、戦力差がありすぎだろ・・・ムラかミグをトレードしてくれな、まったく勝負にならん」
と、ヒコが嘆いた。
結果は、にゃべっちの2発とミグのゴールも生まれ「3-1」で1組を破り、順当に優勝を勝ち取った。
一方、女子ソフトボールの方は、百合子ちゃんの活躍で決勝まで勝ち進んだが、決勝では6組のエース奈津子ちゃんの速球に完璧に封じ込められ、惜しくも「アベック優勝」は逃してしまった。
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