2003/11/09

ムラカミ君の凄さ



 テストの得点では、にゃべっちのトップは不動だったが、通信簿の評価となると話が違ってくる。

2学期の終わり、恒例の通信簿が配布されたが、若い担任教師がムラカミ君に渡す時に

「スゲーな・・・」

と眼を見開くようにして言ったことから、ムラカミ君に注目が集まった。  

普段から物に動じぬ上、自慢めいた言動の少ないムラカミ君だけに、自らの成績表を公開することはなく、みな肩透かしを食らった。

その後、マサ君とともに覗き込んだムラカミ君の通信簿は《オール5》のパーフェクト評価が燦然と輝いているではないか!

学科(国・算・社・理)と体育での「」は当たり前だった神童にゃべっちも、芸術分野はあまり得意でない。

実技の配点が高い音楽と図工は「4」、さらに1学期には苦手の水泳のある体育に至っては「3」が定番(水泳のない学期は、もちろん「5」が定番だったが)となっていただけに《オール5》となると、2年生くらいからは記憶になかった。

それだけに、ムラカミ君のオールマイティな才能には、やはり一目置かざるを得ない。

マサ君も同様で、やはり音楽、体育、図工のどれか12つは「4」となるため《オール5》は低学年時代以来、獲ったことがないらしかった。

最近流行の絶対評価ではなく、相対評価の時代においては小学校も低学年ならともかく、高学年ともなれば《オール5》は簡単に取れるものではないだけに、より一層の価値があった。

「ムラの他にも《オール5》のヤツって、おるんか?」

早速、悪友3人による品定めが始まった。
まず、学科の4教科で《オール5》が確実視される顔ぶれといえば、香ちゃん、香里ちゃん、奈津子ちゃんの3人に加え、生徒会会計の愛子ちゃん、あとはガリ勉タイプの由布子ちゃんや陽子ちゃんといった数人がエントリーされる。  

ところが、にゃべっち同様、問題は体育・芸術科目だ。

まず典型的なガリ勉タイプの由布子ちゃんは、超の字の付く運動音痴だから問題外で真っ先に脱落。

香ちゃん、香里ちゃんと愛子ちゃんの3人は、芸術系はにゃべっちやマサ君に比べれば丁寧でもあり、またかなり上手でもあった。

しかしながら、いずれも運動神経が発達しているわけではなかったから、学科で頑張っても実技の配点の高い体育で「5」はないと断言できた。

それに対して、陽子ちゃんは比較的バランスは取れてはいるものの、ムラカミ君のように《オール5》を獲るだけのインパクトはない。

となると最後に残るのは、あの憎い奈津子ちゃんのみだ。

男勝りの運動神経は女子でも屈指だけに、まず体育の「」は間違いのないところ。

しかしながら、残る家庭科と音楽とも「5」とはやはり考え難い。

こうして

「やっぱり、ムラはスゴイ!!」

と、改めてオールマイティなムラカミ君の万能ぶりに、みなの尊敬が集まった。

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