ハイドン後期の交響曲の最終楽章の構造を集大成したような、見事な楽章である。
親しみやすい2つの主題をもとに、対位法、色彩的な和声、ウィットなどハイドンの素晴らしさが簡潔に盛り込まれたロンド・ソナタ形式で書かれている。
ハイドンの交響曲が「飽き易い」というのは、皮相な見方に過ぎない。
実際には規模は小さくとも、どれもが一筋縄ではいかないような凝った構成で練りに練られ、地味ながらスルメのように聴けば聴くほどにジワジワと、深い「滋味」が滲み出してくるのが、ハイドンの特徴なのである。
例えばモーツァルトなどには、ハイドンの影響が顕著に見られることはすぐにわかるが、一旦はハイドンに弟子入りしながら直ぐに
「アナタは古臭い!」
と、老いたるハイドンにさっさと見切りをつけ、後に独自の世界を確立していった楽聖ベートーヴェンの作品群(特に初期のもの)さえも、やはりハイドンの影響から免れ得なかったのは明らかである。
ちなみにハイドンは、弦楽四重奏曲も80曲を超すという天文学的な数を遺していることからもわかるように、交響曲ばかり創っていたのではなく、色々なジャンルで多作を遺している。
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