《元々のヴァイオリンソナタは「ヴァイオリン助奏付きのピアノソナタ」と言った方がいいようなスタイルでした。しかしヴァイオリンが楽器としても完成され、さらに演奏者の能力も高まるにつれ、次第に二つの楽器が対等に渡り合えるようになっていきます。
この移り変わりは、モーツァルトの一連のヴァイオリンソナタを聴いていくと、よく分かります。初期の作品では、ヴァイオリンはおずおずとピアノに寄り添うだけだったのが、後期の作品になると二つの楽器が対等に自己主張をするようになり、素晴らしい世界を展開してくれます。
ベートーヴェンはヴァイオリンが持つ表現力をさらに押し広げ、時にはヴァイオリンがピアノを従えて素晴らしい妙技を展開するようになります。ヴァイオリンが自己主張する傾向はロマン派になるとさらに押し進められ、ここで聴かれるフランクのヴァイオリンソナタは、その頂点をなすもののひとつです。
それにしても、これほどまでにロマン派らしいヴァイオリンソナタが他にあるでしょうか!
まさに、ヴァイオリンという楽器の持つ妖艶な魅力をいかんなく振りまいています》
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