天才ヒムロ

　1年生最後の3学期期末試験は、最後の3学区合同テストとなる。

トップは、前回に続きヒムロ。転校後の不慣れな中で、2回連続のトップはやはり凄いというしかない。しかも前回より更に得点を大幅に上げ、2位以下に大差を付ける驚異的な成績であった。

合計点では、2位の真紀からワーストとなる6位まで落ちたとはいえ、にゃべまでの5人がダンゴ状態で犇く中、独り別天地を行くといった圧倒的な学力には皆、舌を巻かざるを得なかった。他人の能力は滅多に評価しなかったにゃべも

（やつは、確かに本物かも・・・）

と、他人に初めて「天才」の称号を与えるに吝かではなかった。

最高位の2位に浮上した真紀は

「嬉しー。一生勝てないと思っていたにゃべに勝てるなんて・・・」

と大喜び。

「凄いね～、真紀～、2位だなんて・・・にゃべにも勝てて良かったじゃん」

と、祝福する千春に

「きっとにゃべが、最後だからって華を持たせてくれたんじゃないの？」

と、余裕のジョークも飛び出した。

3位は香。普段の成績は、にゃべ自慢の情報網をもってしても、まったく聞えてこなかった秘密主義の香だが、3位はさすがである。前回は「ヒムロ旋風」の前に落ち込んでいたゴトーも4位に復帰し

「やっぱオマエより、オレの方が賢いだろーが・・・フフフ」

と、これまた得意げな表情であった。

盟友ムラカミを5位に挟み、殆んど点差はないとはいえワーストの6位にまで落ち込んだにゃべ、またジリ貧に順位を落としてきていたナカムラは「ヒムロショック」からか（？）、7位まで落ち込んでしまっていた。

『Ｂ小』時代はにゃべ、ムラカミとともにトップ3を独占しつづけた悪友の一角であるマサの名は、やはりここでもまったく見当たらなかった。