フランクはベルギーで生まれましたが、音楽家としてはフランスで活躍しました。1800年代後半のフランスといえば、マイアベーア風の軽い気の利いた音楽が持て囃されていました。しかしフランクはバッハとベートーヴェンを尊敬し、緻密な構成で思索的な作品を追求しました。当時の聴衆には、あまり認められなかったようですが、教育にも熱心でダンディ等の名音楽家の弟子を育てています。
「フランキスト」という言葉が残っていますが、これはフランクの門下生を意味しています。フランクというと「交響曲ニ短調」が有名ですが、彼が遺した最も優れた作品を一つだけあげるとすると、このヴァイオリンソナタをあげる方が多いのではないでしょうか。1886年、フランク64歳の時に、名ヴァイオリニスト兼作曲家であったイザイの結婚を祝って作曲され、初演もイザイによって行われています。
第3楽章 レシタティーボ・ファンタジア
「レシタティーボ・ファンタジア」とは「朗誦・幻想曲」という意味になりますが、ソナタとしては異色の楽章です。ピアノの4小節の前奏の後、ヴァイオリンが独奏でレシタティーボを演奏します。カデンツのようでもあり、語りかけるように歌います。幻想曲という表示のように、自由に即興的展開をみせます。
途中、感情が高まるところでは循環基本要素がはっきり出てきます。その後の落ち着いた雰囲気への変化も素晴らしく、表情の豊かな美しい楽章です。
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