2004/03/08

飛ぶ鳥の明日香


 「日本のふるさと」とも言われる奈良の明日香村。ところで「明日香村」は正式な自治体名だが、近鉄線の駅名は「飛鳥」。 また『東大寺』の遮那仏を抑えて、日本最古の有名な「飛鳥大仏」の鎮座ましますお寺も「飛鳥寺」である。  かつて合併された時に、各村議会で「飛鳥村」にするか「明日香村」にするかについて侃侃諤諤の議論が沸いていたようで、結局は伝統的な「明日香村」に落ち着いたわけですが、近鉄は敢えて「飛鳥」という名前を存続させた。

元々は「飛鳥」の字の方は「大和志料」では

《和銅中、高市郡飛鳥寺を平城に移し建つ。新元興寺是なり。因て、故郷の名をここに移し、奈良の飛鳥の里と称す》

と記されている(この元興寺で寺小屋だったものが、現在の奈良市にある飛鳥小学校となった)

その後「飛ぶ鳥の明日香」と言われるように「飛鳥」が「明日香」にかかる枕詞であったのが、転じて「あすか」と読むようになったというのが、ことの経緯のようである。

「あすか」の由来については「明日香村Webページ」に詳しいため、以下に引用する。

外来説1・・・渡来人が日本に来て、安住の宿とした場所を「安宿(あすか)」と名付けた。安宿はコリア語でアンスク、これが訛ってアスカになったという説。

外来説2・・・古代コリア語で村を意味するスカに、接頭語のアがついて出来たという説。

・外来説3・・・仏教発祥の地インドの「アショカ王」の名前から、転化したものであるという説。インドでは、アスカとは「理想の楽園」という意味の言葉だとも言われている。

・鳥説・・・古代においては年号等に白雉、朱鳥、白鳳と用いられているように、鳥はしばしば瑞兆として尊ばれたが、アスカの音は「イスカ」という鳥の名前から転じたとする説。

・地形説・・・地形を表現する単語が合成されて出来た。「ア(接頭語)+スカ(洲処ー川水、海水等によって生じた砂地)」、或いは「アス(浅すー川、海等が浅くなる又は水が涸れる)+カ(処)」、もしくは「アス(崩地)+カ(処)」であるという説。飛鳥地方は、川原とか豊浦といった水辺に関係ある地名が残っており、水(海)で覆われていた部分が山の浸蝕土砂の堆積等により、陸地化する過程で生まれた地名である。この説によると横須賀等も同じ語源であり、アスカから訛った場合として「安積」、「朝香」、「浅香」等があるという。

・聖地説=スカという語がイスケ、イスズ、ミソギ等と同様、禊をする等の神聖な意味を持ち、神聖地に用いられたという。

アスカの地名としては「飛鳥」の字が一般的に定着しており、昭和31年高市村、阪合村、飛鳥村の3村が合併して生まれた村名である。石舞台古墳や高松塚古墳など多数の古代遺跡が所在し、古代史フアンに特に親しまれている奈良の明日香(飛鳥)地域も、この地形の様子を呈している。「あすか」の音にロマンチックな「明日香」や「飛鳥」の文字が当てられたため、文字の意味から地名の語源や由来を解き明かそうとする学者も多い。が、地名に使用されている文字は殆ど当て字で、文字からは決して地名の語源や由来にはたどり着けないとも言われる。

 「明日香村」は、現代的感覚で新しく造られた名前のように理解されている向きが多いが、実は非常に古い地名である事は「記・紀」など古代の文献からも見て取れます。アスカの表記について古事記、日本書紀、万葉集等から拾ってみると「明日香」、「飛鳥」、「安宿」、「阿須賀」、「阿須可」、「安須可」等々、色々の文字が用いられており、地名或いは川の名前としては「明日香」及び「飛鳥」は、最も頻繁に用いられている。古事記、日本書紀では主として「飛鳥」が用いられ、万葉集では「明日香」と出てくる場合が多く、飛鳥はアスカという場合と飛ぶ鳥として明日香の枕詞になっている場合とがある。

空飛ぶ小鳥の姿がカスカに見えたので、アスカの字に「飛ぶ鳥の」という説明の言葉を冠せたという説。渡来人が流浪の旅の末、安宿(明日香)の地に落ち着いた。流浪の旅は、あたかも飛ぶ鳥の移動のようなもので、明日香の地に「飛ぶ鳥」の枕詞を冠せたという説、と実に様々な解釈があるようです。

●ポリネシア語による解釈

http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/ 引用

飛鳥は、奈良盆地南東部の歴史的地名です。通常、高市郡明日香村の東部と、橿原市の一部のかなり広い地域を指しますが、本来は天香具山の南、橘寺・岡寺に至る間の低い丘陵に囲まれた中央を飛鳥川が流れる、小範囲の地域を指しました。

この地には早く允恭天皇の遠飛鳥宮、顕宗天皇の近飛鳥宮が営まれ7世紀の初め推古天皇が豊浦宮で即位し、さらに近くに小墾田宮を造営して以後、舒明天皇の飛鳥岡本宮、皇極天皇の飛鳥板葺宮、斉明天皇の飛鳥川原宮・後飛鳥岡本宮、天武天皇の飛鳥浄御原宮が次々に営まれ、孝徳朝の難波遷都と天智朝の近江遷都の短期間を除き、持統8694)年の藤原京遷都まで日本の古代政治の中心を成し、律令制国家もここで誕生しています。

この「あすか」は

(1)「ア(接頭語)・スカ(住処)」の意
(2)
「ア(接頭語)・スカ(州処)」の意
(3)
「アスカラ(安伽羅、伽耶諸国のうちの1国。所在不明)」の約

などとする説がありますが、定説はありません。

この「あすか」は、マオリ語の「アツ・カ」、ATU-KA(atu=to form comperative or superlative or simply as an intensive,very;ka=take fire,be lighted)、「最高(最上)の居住地」の転訛と解します。「すか(すが)=すくゎ=su-kwa」の音を含む地名は結構多く、その殆どの地形は、音の通り「より見えなくなるように周囲を(低丘陵などに)囲まれて」います。

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