漬物の美味しさに目覚めたのは、小学校時代の給食でカレーライスに添えて出されて来る「福神漬」を知ってからである。
家庭では漬物を食す習慣がなかったワタクシは、この福神漬の旨さを母に訊かせると
「じゃあ、今度スーパーで買って来ようかね〜」
と早速買って帰って来たのは、給食で馴染みの茶色のではなく赤の福神漬けで、味の方もかなり劣る気がした。
で、正直にそう不満をたれると
「茶色のなんて、なかったんだよ・・・探したけど、福神漬というとそれしかないみたい・・・」
という母の言葉に納得せず、今度は買い物に便乗して目を皿のようにしてスーパーの棚を探して見ますが、確かに福神漬といえば赤色のばかりで、茶色の福神漬は見当たらずガッカリしたものだった ( ̄_ ̄|||) どよ~ん
さて今日の漬物好きになる切っ掛けは、以前にも書いた通り「山本屋本店」の盛り合わせ鉢からだ。
名物の味噌煮込みうどんが出来上がる前にタクアン、白菜、ナス、キュウリなどの3~4点盛りが出され、お替わりは自由。
熱燗でこれをやるのが堪えられず、三鉢平らげた事もあったくらいに入れ込んでいた (。 ̄Д ̄)d□~~
そんなワタクシだから「吉野家」や「松屋」では、あの白菜のお新香は絶対に欠かせず、時によっては2皿食べる事もある。
いつしかスーパーでの買い物でも、漬物は欠かせないアイテムとなった。
しば漬け、べったら、赤かぶ、白菜などなど、その時の気分や値段によってもまちまちだが、殆んど冷蔵庫に欠かすことがないのがしば漬けで、ほか弁やコンビニ弁を食べる時などは必須となる。
ところが、そんなワタクシでさえ京都の人たちが漬物を良く食べるのには驚いた。
≪紫葉漬け(しばづけ)は、茄子を刻んだ赤紫蘇の葉で塩漬けにした、京都の伝統的な漬物。
すぐき、千枚漬と並んで京都の三大漬物と言われている。
紫蘇の赤紫色が鮮やかで、酸味が強い。
京都の漬物であるが人気が高く、日本全国ほぼどこでも売られている。
本来の製法で漬ける場合は、熟成まで1年近くかかるとされる。
現在は胡瓜や茗荷などを入れる事もあり、酢漬けにされるが、本来は茄子と紫蘇の葉、そして塩を用い、酸味は乳酸菌による乳酸発酵に由来するものだけで酢は使用しなかった。
現在、この酢を使用しない製法のものは「生柴漬」、「生紫葉漬け」などという名称で販売されることが多い。
平家が滅亡した後、平家の数少ない生き残りであり、京の大原に隠棲した建礼門院(平徳子)が、慰めのために持ち寄られた地元の漬物を気に入り、紫葉の入った漬物=「紫葉漬け」と名付けたという伝承がある≫※Wikipedia引用
盆地の京都では海の幸に恵まれず、昔から鯖街道を通って北陸(小浜)の方から、塩漬けにした魚を一晩かけて運んで来ていたくらいで、日持ちのする漬物は自前で大量に調達できる、数少ない貴重な食品だったらしい。
伊勢湾や豊浜といった、漁港に恵まれた愛知県人のワタクシなどには考えられない事でしたが、京都では漬物が立派な「おかず」であり、質素な家庭の朝食は『ご飯におみおつけ(味噌汁)、そして京采(漬物)があれば良し』というのも決して珍しくはないようです。
有名寺社の近くに軒を並べるみやげ物屋でも、やたらと目に付く京漬物ですが、これらは押し並べて高価でした。
有名な大原三千院前の参道にも、みやげ物屋が軒を並べていますが、かつて大原巡りをした時も大原女スタイルの店員が、店頭で声を張り上げていました。
「本場のしば漬けはいかがおすか〜!
ウチのはホンマもんでっせ〜、ホンマもん!
スーパーなんかで売ってはるような、合成着色料がギョウサン付いてるようなんは、ホンマのしば漬けの味やあらしまへん。
ウチのはそんなんとちごうて、なんもつこうてへんホンマもんおす〜」
こう耳元で「ホンマもん、ホンマもん」と連発されては、しば漬け好きのワタクシの腹が鳴り、食指が動かぬはずはありません。
確かに着色料などを使っていない、天然モノ特有の燻ったような地味な色合いで、一袋600円也の大枚はたいて大いに期待した「ホンマもん」でしたが、見た目も味も1パック200円程度のスーパーのしば漬けの方が遥かに美味しく感じた。
さらに数年後。
近所のスーパーで見つけた、しば漬けの「本場・京都産」という文字に惹かれ、大枚500円を叩いて買ったしば漬けが、やはりパサパサした野菜の触感ばかりで味がしないのにガッカリすることに。
すっかり人工着色料に馴らされた都市住人の悲哀を痛感するための、高い授業料となったのみであった (´Д`) フゥ
0 件のコメント:
コメントを投稿