さて、問題の「自称天才男」オロチだが、口では色々と吹きまくっているものの、さすがにまだ海のものとも山のものとも得体が知れないだけに、その評価は真っ二つに割れた。
「やっぱ、都会の中学でトップクラスだったてんだから、かなりいい線いくんじゃね~か?
いきなりトップとかもあるかもよ?」
「いや、あんなの案外たいしたことねーんじゃねーか?
向こうのレベルが高いっつー保証もないしさ。そもそも、前の中学でトップクラスなんて話も、ハッタリかもしれんし」
「そうそう、口ばかりはやたらと達者だからな。ま、案外10番以内にでも入れりゃあ、オンの字ってとこじゃねーのかな・・・」
「いや、それも危ないんじゃねーか?
いずれにせよ、アレだけ大口叩いてきたわけだから、そん時はまあ精々可愛がってやろうじゃねーかよ」
などと、ボロクソに貶す声も訊かれた。当のオロチ人は
「そりゃ、まぁやってみん事にはなんとも言えんわな。まぁ、オレもここのレベルが実際どんなもんか、まだわからんからなんとも言えんし・・・」
と、試験が近づくにつれややトーンダウンしてきたものの、相変わらずの自信をのぞかせていた。当時のにゃべ見立てでは、日頃のくだらない言動の中にも頭の回転の早さは充分窺い知れていただけに
(ヤツは、結構デキるかも・・・ひょっとすると、オーミヤに次ぐクラス3番手かな?
よもや、あんなヤローがオレより上ってことはなかろうが・・・)
と、若干の不安も覚えながらも、相変わらずズボラなにゃべは勿論、試験勉強などとは無縁であった (
´-)y-~~
この転校生は現実に評判通り、或いはそれ以上の逸材なのか?
はたまた、とんだ食わせモノの単なる大ボラ吹きだったのか?
運命の期末テストの結果はいかに? ( ´艸`)ムププ
時を同じくして、県内某市と大阪からやって来たオロチとヒムロの参入により、俄かにいつにない注目を集める事になった二学期期末テストが終わった。前回の中間テストでは、見事トップを射止めたにゃべだったが普段から勉強嫌いだけに、そうそうトップが続くはずはなく今回は3位に後退。
「にゃべ3位かぁ~。落ちたといっても、やっぱりさすがね~」
と言う真紀は、前回トップのにゃべに肉薄し3位につけたが、今回は5位に後退していた。学年3位のにゃべは、クラスではトップ。ところが、学年5位の真紀もクラスでは2位だったから「自称天才」のオロチは、どう見積もっても学年では真紀と同点の5位以下しか考えられない。そうなってみると、クラス中で囃し立てられるオロチの成績も、にゃべにとっては既に興味の対象外となった。
「ねぇ、ヒトミ~。テストの結果は、どうだったのさ~?」
これまで散々自慢を訊かされ続けてきた、周りの女学生から問い詰められたオロチは
「う~ん・・・チト予想外の結果と言うか・・・これは、思ったったよりレベルが高いのか?
ブハハ・・・」
とかなんとか、ブツクサ言いながら仕方なく公表した成績表は、クラスではにゃべ、真紀に次ぐ3位で学年全体では9位。
「なんだ~、やっぱりにゃべや真紀より下じゃん」
「でも、いきなり3番なら、やっぱり大したものなんじゃないの?」
と、学生らの評価は真っ二つに割れたが、当の本人は
「まあ1回だけで、なんとも言えんだろ・・・でもまあ、確かににゃべとオーミヤだったら、元オレのいた学校でもトップクラスは間違いね~かもな・・・なんせ、オレより上なんだからな・・・」
と誤魔化していたが、この時点でにゃべは既にオロチは相手にしていなかった。
(となると・・・トップは、またナカムラか、ゴトーか?)
などと考えているうちに
「大阪から来た転校生ヒムロというヤツが、トップだって!!」
という噂が、瞬く間に聞えてきた。
「へぇー、本当かな、それ?」
「本当みたいよ。本人が吹聴してるらしいから」
皆の間からも
「う~ん、アイツこそは本物だったのか。こりゃあ、えらいヤツが来たもんだ」
という溜息が聞かれた(この時点において、口八丁のオロチの影はすっかり薄れてしまったことは、言うまでもない。そんなヒムロを意識しすぎたせいでもなかろうが、にゃべとともにトップ予想もあったゴトーとナカムラは、それぞれ6位、8位と低迷。上位の常連が軒並みワースト更新と苦戦する中、畏友ムラカミが堂々の2位につけていた。
これまでは、にゃべっちの情報網をもってしても、香と香里の順位だけはまったく入ってこなかったが、ここまで4位と7位が空席のところから、おおよその見当はついたが、本人はあくまで黙して語らず。成績抜群のはずの香だが、徹底した秘密主義が恨めしくも感じた。
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