2004/03/03

家財を運ぶ(T社極秘プロジェクトpart7)

 リーダーから、4人のメンバーへ向けて

「上位(会社)のF社SEから

『皆さん、もっともっとunixを勉強しないと、先の段階から徐々に業務に付いていくのが難しくなります』

という要求がありました。

ただし、ここでの環境は(失敗した時のシステムへの影響を考え)実機で勉強するに相応しくないとのT社からのお達しがあり、各位で自宅にサーバを立てるなどして自己啓発に務めていただきたい。それぞれがプロのSEという立場を考え、私の方からあれこれ指示を出すつもりはありませんが、参考までに(これまでハード専門にやって来た)私自身も皆さんの研修に便乗して、SEの講義を通じて自らの知識不足を痛感しました。それで私は、中古の安いPCを買ってきてサーバを立て、Linuxを導入して独習しています。皆さんも自分でこれと思う方法で結構なので、自己啓発に務めていただきたい」

このリーダーからのお達しに便乗し、渋る所属会社から業務用のFMVを半ば強奪する形で借り受ける事に成功した。勿論、Linuxの勉強などは、毛頭するつもりはなかったが。

ところが、住居のレオパレスが光通信網の入っている地域のために、ADSLが使えないのである。僅か3ヶ月の仮住まいのために、光やケーブルの敷設にン万も払うのはバカバカしく、残された選択肢はISDN環境しかなかったが、これがまたイライラするほどにノロかった。

ネットの環境は劣悪とはいえ、PC自体の使いようは色々とあるから、テレビといえば野球くらいしか見ない身にはありがたかったが、一旦こうした「文明の利器」に接すると、抑えつけていた煩悩が頭を擡げだした。

(どうせ3ヶ月と、短期間の仮住まいだから・・・)

と身軽に引っ越したものの、やはり「音楽のない生活」には耐えられなくなってきたのだ。そこで改めて休日を利用し、荷物を運ぶ事にした。
 
身の回り品は、知り合いの運送屋で「ダンボール一箱500円也」と格安で運んでもらったものの、電気製品はデリケートなだけに扱いの手荒な運送屋などには、うっかりとは頼めない。そこで勝手に白羽の矢を立てたのが、実家近くに住んでいるワンボックスを所有する友人だ。この際とばかり、オーディオセット一式(スピーカー4本+ウーファー+プレーヤー+アンプ+イコライザ)にビデオ、デスクトップPCなど積めるだけ積み込んで運んでもらい、無事に引っ越しが完了した。

「お礼に(唯一近くにある)、回転寿司でも奢るよ」

と、労うと

「いいよ、気を遣わんでも。それにこれから用事もあるから、呑むことも出来んしな~」

「喰うだけでいいじゃん。もっともこっちは、遠慮なく呑ませてもらうが・・・」

「ったく・・・」

とかなんとか言いながらも、これ以上扱き遣われては堪らんとでも思ったか(?)、親切な友人は近くのスーパーでお礼に買った信州の地酒2本とロースハム、カマンベールチーズ、サラミなどを手に、そそくさと帰って行った。

さて、それからは配線に大童だ。PCとネット接続とビデオは簡単だったが、オーディオの方は線が何本も入り組んでいるだけに

(ちゃんと出来るかいな・・・)

と、些か不安が・・・

なにしろ、説明書も行方不明になったままで探すも面倒なので、とにかく外したときの記憶だけを頼りに見当を付けてゴチャゴチャ悪戦苦闘していると、どうにかこうにか巧く出来てホッと一息。こうして前日までは何もなかった殺風景な部屋が、一気に快適空間に変貌を遂げた。

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