2004/03/24

超人ミグ(中学生図鑑Part6)


 「神童にゃべに土を付けた男」がミグである。

小学校入学以降、勉学にスポーツにと「神童」の名をほしいままにして来たにゃべ。勉強ではムラカミ、マサの「悪友トリオ」を始め、もろこ、香里などの女子優等生の誰も寄せ付けず、6年間トップを守り続けて卒業。一方、勉強ほどではないにせよ、これといった強力なタレントがいなかったことも手伝い、スポーツでもトップの座をキープし続けた。強いてあげれば、スポーツ万能のムラカミなどが同じようなレベルに位置していたが、長身のにゃべっちと小柄なムラカミとでは、直接対決の機会はまったくない。

そのようにして、運動会の徒競走ではスタートで転倒した3年生の年を除き、4年生までは1等を続けていた。そのパーフェクトなキャリアに土をつけたのが、超人ミグである。

5年生の徒競走でタッチの差で敗れたのを皮切りに、続く6年生の勝ち抜き相撲の決勝でも敗北。さらにはドッジボールと「当てっこ」においても、4年生の時に上級生を次々に破る快進撃の立役者となり「ドッジの神様」と崇められたにゃべを凌駕し、遂には「」の座をも奪い取っていった。

神童にゃべに土を付けた男」と冒頭に書いたが、それに加えてミグこそは「神童伝説に幕を引いた男」でもある。

このミグは、低学年時代までは名前すら聞いたことがなかったように、元々はオグリ同様に影の薄い存在だったのが、高学年になる辺りからスポーツにおいて潜在能力を発揮し始めたのも、またオグリと同様である。もっとも、小学生時代はまったく知らなかったオグリとは違い、このミグは小学校も高学年になると知られた存在として伸してくるとともに、最大のライバルとしてにゃべっちの前に立ちはだかってきた。

不思議なことにこのミグというのは、こちらにとっては「ひたすら憎たらしい嫌味なヤツ」としか映らなかったが、男子学生からは案外な人気があった。こうしたところを見ると、実際にはそんなに嫌なヤツではなかったということかもしれず、どうもこの男はにゃべだけを「親の敵」とばかり、色々な勝負で倒すことに執念を燃やしていたらしい。

中学で同じバスケットボール部に入ったムラカミが、合宿の時にミグから聞いた話では

「(4年制の時の)あの全校ドッジ大会のにゃべは、小学校6年間で一番印象強かったなー。どーやったら、あんな動きが出来るのって、色々研究したぜ・・・」

などと言っていたらしい。

皮肉なことに、このミグから引導を渡された「神童」は、徐々に俗人化の道を辿ることになっていったのとは対象的に、ミグの方は神童の命名した「超人」のあだ名に相応しいスポーツマン振りを発揮し、マラソン大会でのぶっ千切り優勝など次第に「」の領域へと踏み込んでいった。そのスケールの大きな潜在能力は、まことに計り知れないものがあった。

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