2004/05/04

因縁対決(中学サッカー地区大会part1)

 持ち前の運動神経と体のバネを生かし、2年生にしてセンターフォワード(以下、CF)のレギュラーポジションを射止めた、にゃべ。今は、すっかりツートップがサッカー界の主流となったが、当時はまだスリートップの流行りが残っていた。わけても、左右にウィング(ライトウィング・レフトウィング)を従えたCFは、野球でいえばエースピッチャーに相当する花形ポジションだ。

CFに大抜擢されたにゃべとともに、フォワードに抜擢されたのが同級のイモだ。『B小』時代は水泳をやっていたのが、中学入学と同時になぜかサッカー部へと鞍替えしていた。

このイモとは、入部以来最もウマの合う良き友だったが、この年は初めてクラスも同じとなった事で、悪友トリオなども交えて益々、親しさを増していく。

長身のにゃべっちよりも更に上背があったイモは、クラスではシモッチらに続き後ろから23番目。一見スリムに見えるが、その実筋肉質に研ぎ澄まされた肉体の持ち主でもあった。

運動神経は、にゃべにも匹敵するほどに優れており、また切れ長の細い眼に色白の赤ら顔の第一印象は、なかなかコワモテであったし実際に腕力の方もかなり優れていた。ところが見かけによらず、案外気の優しいところがあり、みなからは「イモさん」の相性で親しまれていた。

さて、新フォワード(以下FW)としてコンビを組んだ2人。グラウンドでは、戦術などを巡ってのケンかが絶えなかったものの、ひとたびグラウンドを離れれば

「オイ、にゃべー」

「なんや、イモー」

と呼び合う親友である。

スリートップのうち2人が無名の2年生ながら、3年生を実力で押し退けての抜擢だけに

「この抜擢が大成功だったことを証明して見せるのだ!」

にゃべ、イモともに益々練習に熱が篭っていった。

 サッカー部の地区大会は、地区内の30校が参加してトーナメント方式で県大会出場権を賭けて、毎年夏から秋にかけて争われるクラブ最大のイベントである。

前年優勝で今回も優勝候補の呼び声の高い『A中』と、前年準優勝の『K中』の2チームのシード校とともに、前回準決勝で『Fa中』に敗れた『B中』も「三強」の一角に数え上げられていた。

そんな戦前の予想とは裏腹に『B中』の戦いは緒戦から、思わぬ苦戦を強いられる。初戦は、センターフォワードデビューのにゃべ、イモが得点を挙げて格下相手に「3-0」で快勝したものの、2回戦は思わぬ苦戦となった。相手DFに完全に封じられた2年生の2トップに代わり、3年生のタケウチの得点で「1-0」と冷や汗の勝利だ。

こうして、なんとか準々決勝に駒を進めると、昨年までは『B中』で同僚だった因縁のゴトー率いる『C中』との対決を迎えた。

『B中』における昨年は、お互いに1年生として補欠に甘んじていたが、この年のゴトーは3年生のいない『C中』では、キャプテン兼エースストラーカーとして、チームの大黒柱となっていた。また、にゃべの方もLWのイモらとともに、2年生にしてレギュラーに抜擢され、CFという重要なポジションを任されていたのであった。

初戦で、いきなりハットトリックを決める華々しいデビューを飾ったゴトーを羨ましく眺めながら、上級生にもチャンスを廻さなければならないにゃべとしては

(クソッ!
いつまでも、ヤツにばかりエエカッコさせてなるものかー。
3年生のいない『C中』なんぞには、意地でも負けられん)

という個人的な感情からも、一段と闘志を燃やしていた事は、言うまでもない。  以前にも記したとおり、小学校時代はまったく相手にしていなかったゴトーが転校後に急成長して、昨年は体育祭の徒競走で敗れているだけに「江戸の恨みを長崎で」ではないが、サッカー対決では意地でも負けられない (メ-_-) ・・・☆・・・(-_-メ;)

そんな状況で始まった因縁の対決は、キックオフ直後から思わぬ展開となっていく。イレブンのうち3年生が7人を占める『B中』に対し、2年生中心の『C中』とでは、やはり経験の差は歴然としていた。

序盤から『B中』が一方的に押し捲り、前の試合ではまったくいいところのない屈辱を味わってきたにゃべに、待望のゴールが生まれた。これで波に乗ると続けざまにもう一本を決め、前半だけで2得点を挙げたにゃべの活躍で、まったく一方的な展開のまま前半が終了した (´ー`)y─┛~~

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