東京名物「雷おこし」、大阪名物の「岩おこし、栗おこし」に対し、名古屋名物は「掘り起こし」というジョークを訊いた事があります。
確かに名古屋の町は、年がら年中道路工事ばかりしている印象がありますが、勿論名古屋にも有名な和菓子の名物は存在します。
東京・大阪の「おこし」とは違い、上品な名古屋人(?)は固いものは好まないのか、まず真っ先に上がるのが「ういろう」です。
●ういろう
「ういろう」とは元々「外郎」(「うい」は唐音)というチャイナの薬で、元(げん)の礼部員外郎で日本に帰化した陳宗敬が伝えた。
《痰(たん)をきり、口臭を除く丸薬。透頂香(とうちんこう)、または外郎薬と呼ばれた。江戸時代は小田原の名物として有名》
現在の和菓子のういろうは《色が「外郎薬」に似るからとも、外郎薬の口直しに用いたからともいわれる》とあります(「goo国語辞典」参照)
《昭和39年に東海道新幹線が開通すると、名古屋では青柳ういろう一店だけが選ばれて、全列車内での車内販売を開始。このように技術革新と販路の拡大で、名古屋名物が定着しました》(青柳ういろうWebページ)
このういろうは《米の粉に黒砂糖などで味つけした蒸し菓子》という事ですから、いわば言葉は悪いですが「本来は糟として捨てるようものを原料にして作った創意工夫の結晶」とも言えます。
見た目はモチモチとして羊羹のような感じですが、羊羹のような甘ったるさはなくサッパリした歯応えが特徴で、羊羹など和菓子の苦手なワタクシもこの「ういろう」は好物に数え上げられます。
名古屋のういろうは「青柳ういろう」と「大須ういろう」が有名ですが、見た目は殆んど同じながら微妙に味の違いが楽しめます。
●千なり
名古屋では「ういろう」と並んで有名なのが、両口屋是清という会社の「千なり」(どらやき)です。

商品名の由来に
《豊臣秀吉の馬印であった千なり瓢箪を皮の表面に捺したところから「千なり」と菓名を付けた》(両口屋是清Webページ)
とある通り、一般的などらやきよりはひと回り大きく1個125円とどらやきとしては多少値も張りますが、ういろうとともに名古屋では手土産の定番です。
無論、どらやきといっても、パンメーカーが出しているようなパサパサしたものではなく、カステラ風の生地を両面焼きにしたしっとりとした上質の厚皮に、大納言(粒が暗赤色で大きい。「大納言あずき」、または「尾張あずき)の餡は、それほど甘くはありません。
ちなみに、この「両口屋是清」という会社は寛永11年 (1634年)創業という長い歴史を誇り、先の「青柳ういろう」の方もこれに比べれば明治12(1879年)年とやや新しいとはいえ、100年を優に超える暖簾があることからも、いかに長きに渡って名古屋人たちに支持され続けて来ているかがわかります。
つまり名古屋人的には
「なにいっとりゃ~すかね、アンタ!
そや~《東京ばな奈》みて~な、新参者と比べてもらっちゃあ困るがね~、おみゃーさんよー!」
という事になるでしょか。
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