2004/04/23

プッチーニ オペラ『ラ・ボエーム(La Boheme)』(2)


 
「私の名はミミ」"Si, mi chiamano Mimi"

ソプラノ・リリコ(叙情的で甘い響きをもった声質)の代表的なアリア。

「皆は私のことをミミと呼ぶけれど、本名はルチア。お針子をしていて、教会には余り行かないが、いつも神様に祈っています。私の部屋は(屋根裏部屋なので)、春の太陽を最初に見られるの」と語る。

 ワタクシのようなプッチーニファンからすれば、声と音が絡み合うあの背筋がゾクゾクするようなセクシーな世界は、ヴェルディとはまた次元を異にした立派な芸術である、という他に解釈のしようがないのである。中でも、若い時に初めて聴いた『ラ・ボエーム』の、あのゾクゾクするような官能的な描写が、どうにも忘れがたい

若き日のリッチャレルリ(ソプラノ)とカレーラス(テノール)の、妖しいまでに声の絡みが音楽と一体となった素晴らしい芸術。そのディスクが発表された当時は、初競演ながら「二人は、デキているんじゃないのか?」と噂になったらしい(実際に、その後一度結婚した)。まさに影のようにピッタリと息の合ったところを見せて、当時はリッチャレルリの美しい歌声の虜となっていたワタクシなどは、不遜にもカレーラスに猛烈な嫉妬心を掻き立てられたものだった。

勿論ヒロインの美声だけでなく、あのめくるめくような音楽こそは「これぞプッチーニ!」という強烈なインパクトを残す事だろうし、或いはプッチーニの筆としては未完に終わったものの、遺作の『トゥーランドット』の完成度を最高傑作として推す専門筋も少なくない。

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