2年生最初のテスト(中間)で初めてにゃべの後塵を拝し、トップから滑り落ちた天才ヒムロ。そろそろメッキが剥がれてズルズルと後退していくのか、と密かなる興味の対象と化していたが、さすがはそれほどヤワなヤツではなかった。
「またヒムロのヤローが、トップに返り咲いたらしいぞー!」
という噂はたちまちのうちに広がり、最早その抜きん出た実力だけは、いかなるヒネクレ物であろうとも認めざるを得なかった。
ヒムロに続く2位には、ムラカミが入った。そして前回、久しぶりにトップに返り咲いたにゃべは、3位に後退。
「なんだ・・・てっきり、オマエがトップだろうと思ってたんだが・・・これじゃあ、最悪じゃね~か・・・」
「う~む。やっぱヒムロってのは、本物だったか・・・本人も言っていた通り、都会の優等生ってのは基礎学力が違うのかいな?」
「都会の優等生云々はともかく、やつが出来ることは間違いないようだな・・・」
にゃべ、ムラカミの2人は上位の常連だけに、ヒムロの凄さを最も身を持って実感するとともに、その実力を素直に認め始めた最初の2人であったろう。さりとて頑張って勉強し、この憎らしいヒムロのハナを明かしてやろう、といった気などはサラサラないのだから、まったく始末が悪かった。
これまで、まったく勉強したことのないままトップに居座り続けてきたにゃべは、常々
(オレが少しでも勉強したら、毎回アッと驚くようなブッチギリのトップだ!)
という絶対的な確信を持っていた。また、日頃からお世辞などは言ったことのない、親友ムラカミも
「本気でやれば、オマエの方が(ヒムロよりも)上は間違いねーんだろーが・・・」
などと言ってはいたが、この頃は
(しかし、本当にそうかな?)
という疑問が脳裏に過ぎり始めた。
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