2004/04/13

モーツァルト クラリネット五重奏曲(第2楽章)

 


 ≪クラリネットという楽器の魅力を発見し、その魅力を最大限に引き出したのがモーツァルトでした。コンチェルトやシンフォニーの中で、クラリネットを活躍させたのはモーツァルトが最初ではなかったでしょうか。そして晩年の貧窮の中で、彼はクラリネットのふくよかでありながら、哀愁の入り交じった響きに益々魅せられていったようで、素晴らしい二つの作品を残してくれました。それがここで紹介するクラリネット五重奏曲であり、もう一つはそれと兄弟関係とも言うべきクラリネット協奏曲です。

しかし最晩年に作曲されたコンチェルトには、救いがたいほどのモーツァルトの疲れが刻印されています。美しくはあっても、そのあまりに深い疲れが聞き手の側にのしかかってきます。それに対してこのクインテットの方は、モーツァルト特有の透明感を保持しています。

ある人はこの作品に、澄み切った秋の夕暮れを感じると書いています。

とりわけ第2楽章の素晴らしさ!!

これほどまでに深い感情を湛えた音楽は、モーツァルトといえども他には数えるほどしかありません。音楽の前に言葉は沈黙すると言う陳腐な言い回しが、ここでは実感として感じ取ることができます≫

2楽章
長い長いクラリネットのモノローグのあと、クラリネットと第1ヴァイオリンが静かな対話を繰りひろげる緩徐楽章で、モーツァルトが創った最も美しい旋律のひとつだ。微笑んだ女性の瞳にひっそりと浮かんだ涙。クラリネットの物憂げで官能的な響きが、いつまでもいつまでも永遠に続くかのようである。  

言葉にしたら「幸福」?

そう、それは言葉の本当の意味での幸福を現わしている。なぜって若い時にはあまりそう思わないのだが、ある年齢を境にして人は気づくようになるのだ。  幸福は、いつ壊れるか分からない。幸福というものは決して長くは続かないものだ、ということを。だからこそ、今ある幸福が身に沁みて感じられると。フランス映画「幸福」・・・女性監督アニエス・ヴァルダが作ったこの映画でも日曜日、美しい自然に包まれて家族が揃ってピクニックに行く「幸福」そのものの場面のバックに流れていたのが、この曲だった(第1楽章)

その後、夫に若い愛人がいることが分かり、映画は暗転していく。ヴァルダは幸福の何たるかを知ればこそ、モーツァルトのこのひたすら美しい音楽を使ったのだろう≫
※出典 https://blogs.yahoo.co.jp/chikuma46/MYBLOG/yblog.html

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