御在所岳は、三重県三重郡菰野町と滋賀県東近江市の境にある標高1,212mの山。正式名称は御在所山。鈴鹿国定公園の中に位置し「鈴鹿セブンマウンテン」の主峰である。
深田久弥の日本百名山からは漏れたが、深田久弥のファン組織である「深田クラブ」によって、日本二百名山に選定されている。
急峻な岩壁やツツジ科の花々が美しい、変化に富んだ山である。春にはツツジや桜、そして様々な植物、夏には避暑、秋にはアカトンボやハイキング、冬には樹氷や冬山登山と、四季を通じて楽しむ山として最適であるが、一方では「藤内壁」などの岩肌を有し、ロッククライミングのメッカともなっている。冬には、氷壁や氷瀑のアイスクライミングも楽しめる。
三重県側の湯の山温泉から、山頂直下まで御在所ロープウェイが通じている。山頂付近はスキー場となっており、そのリフトで山頂まで行くことが可能。鈴鹿山脈は断層山脈である。このため三重県側から見た山脈の構造と、滋賀県側から見た山の構造が著しく異なる。三重県側は切り立っており、そのため山稜の形もよく、各山からの眺望に優れている。御在所岳は花崗岩質が多く、太古に堆積した花崗岩が侵食により山肌に現れ、いろいろな形の巨岩・奇岩が見られるのが特徴である。特に中道登山道を登ると、このような巨岩をよく観察することができる。
この地形を利用している生物が、アキアカネである。このトンボは、初夏に菰野、四日市などの水田、ため池、川などで羽化し、夏の日差しが強くなると、御在所岳へ暑さを避けて移動する。また、秋が近づき気温が下がると、下界に舞い戻り産卵するという特徴的な生態を示している。
また、この鈴鹿山脈は多くの植物の南限としても有名で、ブナ・カラマツなども滋賀県側の登山道で見ることができる。このため、南からの植物と北からの植物が入り乱れて咲いている。しかし、国定公園に指定されているにもかかわらず、近年、山野草を採取し持ち帰る者が多く、絶滅に近い植物も多く見られる。
歴史と文化
山頂には世界でも類を見ない日本カモシカセンターがあり、ニホンカモシカだけでなく世界中のカモシカが見られる学術的にも重要な動物園であったが、2006年11月30日をもって閉園した。
登山ルート
一般的には、三重県側(菰野町側)から登る方が近鉄湯の山線、三重交通バスといった公共交通機関や湯の山温泉などの宿泊施設、観光施設が集積しているので便利(近鉄湯の山線湯の山温泉駅→三重交通バス)。
三重県側には、主に表道登山道、裏道登山道、中道登山道、一の谷新道、武平峠ルートがある。そのほか裏道から分岐する藤内壁ルート、藤内小屋から分岐して国見尾根を登るルートがあるが、一般登山者にはお勧めできない。藤内壁は切り立った断崖であり、国見尾根ルートはガラ場を登るため落石が非常に多い。片道だけ御在所ロープウェイなどを利用できるというのも、三重県側からの利点である。
2008年9月8,9日の豪雨により、大規模な土石流が発生。裏道登山道の半分以上が消失し、藤内小屋・日向小屋ともに甚大な被害を受けた。9月28日に裏道登山道が開設されたが、土石流で生じた沢を登る危険なルートに変貌している。以前の裏道ではなくなっているので、注意が必要である。
2000年の夏に行った時は登山道があることを知らず、またバスの待ち時間もあったため、確かに下から歩いて上った記憶がある。元々、歩くこと自体は好きなので苦にならないのだが、歩道のないすぐ横を車がビュンビュンと走っているような、危険なコースを歩いてしまった。
その他
四季折々に咲き誇る山野草も、御在所岳の魅力の一つ。春先は山桜、コバノミツバツツジ、マンサク、ショウジョウバカマ、イワカガミ、ドウダンツツジ、少し遅れてアカヤシオ、シロヤシオ、シャクナゲなどがある。
御在所山の標高は過去に何度か修正されており、現在の1,212mという数値は、1990年(平成2年)に最新技術を導入した測量によって再修正された物である。その結果、それ以前よりおよそ2m高くなった。
出典 Wikipedia
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