第6戦 ダイエー5−1阪神
ダイエーが福岡で2連勝の後、阪神が《甲子園》で3連勝で王手をかけ、再び福岡に戻っての第6戦は事実上、このシリーズの天王山といっても過言ではないでしょう。
ところが、試合前に先発投手の名を訊いてワタクシは「???」と思いました。
言うまでもなく、阪神の伊良部投手です。
ワタクシは、この伊良部という選手が阪神の中でも特に嫌いですが、そういった個人的な好悪の感情は別にしても、第2戦でのあのブザマな投球と終始何かに八つ当たりでもするかのような不貞腐れた不愉快な態度を目にしては、素人のワタクシでさえ最早、このシリーズでは使い物にならないのは、火を見るよりも明らかでした。
しかも阪神にとっては《甲子園》という圧倒的な追い風を受け、なんとか3連勝は出来たとはいうものの、どれもこれも紙一重のゲームばかりで、ここまでの展開を見る限りは数字的には3勝2敗とはなっているものの、地力ではダイエーが勝っているのは明らかなのです。
とにもかくにもこの3連勝の余勢を駆って、この第6戦で一気にケリをつけてしまわない限りは、地力でヒケを取る阪神が日本一に輝くのは難しいのは明らかで、そう考えるなら第7戦は視野の片隅に追いやってでも、この第6戦に背水の陣を敷いて臨む必要があったと思われます。
ところが、なぜかその大事な天王山ともいうべき第6戦に星野監督が先発に指名したのが、これまで投げてきた何人もの投手の中で、選りにも選って最低のデキだった伊良部と来たから、その名を訊いた途端に
「なんだ。
これじゃ始まる前から、今日はダイエーの勝ちが見え見えじゃん」
と思ったのは、あながちワタクシの早合点とも言えないのではあるまいか。
で、蓋を開けてみれば案の定、伊良部は前回同様に精彩のないピッチングで早々にKOされ、序盤からダイエーの一方的な展開となり、見所のないゲームに終わってしまいました。
それにしても、伊良部先発の不可解なるハンデはあったものの、阪神打線はこの福岡ドームに来ると、ダイエー投手陣がサッパリ打てなくなるのは初戦から相変わらずで《甲子園》ではあれだけ勇ましかったトラが、すっかり「借りてきた猫」のようにおとなしくなってしまうのは、なんともかんとも不思議としかいいようがありません。
ダイエーを応援するワタクシには、明日の第7戦を制した王監督が地元の福岡ドームで宙に舞う姿が、早くも瞼に浮かんでいます。
そもそもワタクシには、シリーズ直前に星野監督が「今季限りで勇退」を発表した事がどうにも引っ掛かっていて、何故にあのように決戦前の選手の動揺を誘うような、最悪のタイミングで発表しなければならなかったのかがどうにも解せませんでした。
或いは、てっきり日本一の皮算用をしての、あの発言であったとあれば、まあ納得の行かないこともない。
とするなら、最後を飾る花道になるはずのこのシリーズで、逆に結果的にはあと一歩のところまで掌中にしかけた、夢のチャンピオンフラッグが手元からスルリとコボレ落ちていくさまを見るのは、星野嫌いのワタクシにとっては、これまた痛快事ではあります。
しかしながら人間の思いとは、そう単純に割り切れるものではないもので、まるでどちらの本拠地にいるのかわからなくなるような、ビジターでは考えられないようなトラキチの大応援団と、なにもやってない《甲子園》球場に詰め掛けて熱心に応援する阪神ファンの映像を眼にしては、さすがに阪神嫌いのワタクシも阪神に夢を託する純朴な関西人の気持ちに、些か胸を打たれずにはいられませんでした。
いずれにせよ、いよいよ明日は最後の雌雄を決する第7戦。
常識的に考えるなら、ダイエー圧倒的有利は動かしがたいところでしょうが、勝負の世界だけはそれこそ下駄を履くまで何が起こるかわからないところもあります。
ともあれ両リーグを制したチャンピオンとして、今年のプロ野球を盛り上げ大いに楽しませてくれた両チームには、最後まで堂々たる好ゲームを期待したいものです。
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