弦楽器のみで歌曲「ます」の主題が演奏された後、5つの変奏が続く。
この手法は、ハイドンの弦楽四重奏曲「皇帝」第2楽章の影響を受けていると言われる。
まず有名な「ます」の主題が、前楽章の躍動感のある動きと見事なコントラストを作っているところに注目だ。
親しみやすい「ます」のメロディが、冒頭から弦楽器のみで控えめに出てくるところが、実に清々しい。
変奏の形式はシンプルなものだが、魅力的なメロディが次々と飛び出してくる。
以下の通り、メロディを演奏する楽器が順番に移っていくという、非常に分かりやすい構成である。
第1変奏:ピアノによる主旋律の演奏
主題ではピアノが入っていなかったが、玉を転がすような音の動きが気持ちよく響く。
両手ユニゾンによるピアノパートが出てくる第1変奏は難曲として知られ、シューベルトがピアノの書法を理解していなかった例として『魔王』などと共に引き合いに出されることがよくあるのは、ご愛嬌だ。
第2変奏:ヴィオラによる主旋律の演奏に、ヴァイオリンのオブリガートによる音の動きが艶やかな彩りを添えている。
第3変奏:チェロ、コントラバスによる主旋律の演奏に、ピアノによるオブリガートの速い音の動きが印象的で、寧ろピアノが主役のようだ。ここまでは、主題の輪郭が明確に残っている。
第4変奏:第3変奏の勢いを受けて、ドラマティックに演奏される。最初はニ短調で悲劇的な気分を作っておいて、すぐにヘ長調に転じる。
第5変奏:美しい転調のうちに、チェロが物思いにふけるように主題を変奏し、アレグレットで締めくくる。歌曲版「ます」における、ピアノ伴奏の楽しげな音型が使われているのが特徴であり、最後はピアノ伴奏に乗ってヴァイオリンとチェロが交互に歌いながら、静かに楽章が結ばる。
※Wikipedia引用
他の楽章の単純な繰り返し音型に比べ、この第4楽章はかなり凝っているのが解る。
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