にゃべっちの「ラッキーボーイ」の歴史は、産まれながらに始まった。
生れながらにして、珠のように可愛らしいにゃべっちは、看護婦さんらのアイドルだったらしい。幼稚園から小学校の低学年にかけても、どの女の子にも負けない可愛いにゃべっちは、従姉妹の友人などから
「にゃべちゃん、カワイー」
と、アイドルのような存在だった。
また「神童」と呼ばれた学校でも、みんなのアイドル的な存在であった事は言うまでもない。同学年ばかりでなく、姉の学年でも
「にゃべちゃん、カワイー」
と評判になったり、6年生の時には生徒会長を務めた事もあり、校内のアイドルとなった。
にゃべっちの「アイドル伝説」は、まだ終わらない。中学生になっても「美貌」は健在で、アイドル街道まっしぐらだ。さらに高校に進むと学校区が広くなった関係で、中学までのように学内全体に名前の知られる有名人ではなくなったものの、美貌には益々磨きがかかり人気者である事には変わりがなかった。さらに大学でも、持ち前の明るく気さくな性格と、徐々に男らしさを増して来たオトコマエとして人気を集め、常にその周囲は人の輪に囲まれていた ( ´艸`)ムププ
社会人になっても、その周囲に人が集まるにゃべっちの「ラッキーボーイ」ぶりは健在だった。
例えば、飲食店など。人込みの嫌いなワタクシは、敢えて混雑していない店を選んで入るのを常としていたが、ワタクシが入ると次々に客が入って来て、気付けばあっという間に周囲が混雑になっているのが通例だった。これは決して誇大妄想なのではなく、実際に行きつけで親しくなった店のマスターやウェイトレスなどからも
「ホント、にゃべっちさんってラッキーボーイだね・・・
にゃべっちさんが来ると、急に客が増えてくるよ」
などとよく言われたものだったし、実際にそうであった。記者時代に写真を教わっていた、カメラマンのA氏と行きつけの喫茶店に行くと、A氏が自分の事を
「さすがラッキーボーイだろ」
と言っていたのには笑ってしまったが、店のママは
「ラッキーボーイはあんたじゃなくて、にゃべさんでしょ。
アンタ一人の時は、そーでもないし」
という証言もあるくらいなのである。勿論、人の混雑が嫌いなワタクシ自身は、自分自身が「ラッキーボーイ」たる事は嬉しいどころか迷惑千万な話なのだが、店の人にしてみれば
「にゃべっちさんに、ずっと店に居て欲しいくらいだよ」
などと、無責任に声を揃えていた。
他にも、例を挙げようと思えば「ごまん」とある。先にも触れたように、外食の時は出来るだけ空いている店を選んで入ることにしている。が、それでも店に居る間に、ドンドンと客が入ってきたりするケースがやたらと多い。殆ど客の姿が見られないようなガラガラの店を選んで入ったのに、次々に客が入ってきて食事の間に、いつの間にか満員となっていたばかりか「行列まで出来ていた」などということも、何度かあった。単に空いている店を選ぶだけではなく、出来るだけランチタイムで混雑する時間帯を避けるのが常だから、ランチタイムが始まってどっと客が増えた、と言うわけでもない。
蕎麦屋や大衆食堂のようなカウンター主体の店では、出来るだけ周囲や対面に人の居ない席を選んで座るようにしているが、不思議と決まって料理が運ばれてくるようなタイミングで、対面や隣に誰かが来たりするのだ。
「さあ、食べよう」
というところで、対面や隣に人が来られるのが最も嫌なのだが、これがまるで「狙ってでもいたかのような」絶妙(最悪)なタイミングなのである。先日も、遅いランチを食べようと中華食堂「日高屋」に行くと、2時を過ぎていたため店内はガラガラだった。勿論、対面にも隣にも誰も居ない。
(今日は、ゆっくり出来そうだ・・・)
と思っていると、オーダーした冷やし中華が運ばれてきた。
(こりゃ、旨そうだ)
と、箸を取り出したところで、案の定リーマン風のオッサンが足早に入ってきた。猛烈に嫌な予感がしていたが、その予感はやはり的中した。まるで最初から「狙ってでも居たかのように」、脇目も触れず一目散にこちらに向かってくると、対面の席にどっかと座ったではないか。先にも触れたように、店内はガラガラだったから
(オイオイ・・・なにもわざわざ対面に来なくとも、他に幾らでも空きがあるだろーが!)
と、文句のひとつも言いたくなる。実際、この対面のテーブルには端っこ(と言っても3人がけのため、二つ隣)に反対側に先客が居たのだから、誰も座っていない「島」に行くのが「常識」ではないのか?
このようなケースが続くと、まるで遠隔地のモニターで店舗の監視でもしていて、ワタクシが席を占めたのを見届けてから
「にゃべじゃまし隊の出動要請」でも掛かっているのじゃなかろうな?
などと考えたとしても、あながち「被害妄想」とは片付けられないのである。
この物語は、決して自分の「ラッキーボーイ」ぶりを自慢するためのものではない。これから展開する物語の前提知識として、ここまで書いてきたようにワタクシが稀代の「ラッキーボーイ」である事が、大いに関わってくるのである。
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