2004/06/22

モーツァルト セレナーデ第9番『ポストホルン』(3)



 「音楽はいかなる場合でも、楽しくなければなりません

これはモーツァルトの遺した言葉だが、まさに読んで字の如しでこれほど簡潔にして的確な表現はない。

music」を「音楽」と訳した人のセンスは、マコトにお見事である。

音を楽しむ」。これこそが音楽の真髄であり、Classicといえど「音学」ではなく「音楽」である事が第一義であるのは、変わりはないハズなのである。   そしてモーツァルトの偉大なところは、そうした概念だけでは終わらずに  「音楽とは、こんなにも楽しいものである」と、実際に数多くの作品として遺してくれたところだ。

 7楽章からなるこのセレナーデは、おそらくなんらかの祝祭のために書かれたと思われるが、用途は正確には知られていない。有名なモーツァルト伝の作者であるフランツ・ニーメチェックは、出版社ブライトコプフ・ウント・ヘルテルあての手紙(1799年5月27日付)で、この曲が大司教の霊名の祝日のために書かれたとし、祝賀交響曲と呼んでいる。が、ヒエロニュムス・コロレードの霊名の祝日は9月30日であり、この曲の作曲された日(1779年8月3日)からみて、必ずしも確実なものとは言えないようである。

この作品にはモーツァルトがマンハイム・パリ旅行中に受けた影響が豊かに反映しているとともに、それが彼の若々しい個性によってみごとに消化され、前に挙げた交響曲や協奏交響曲に劣らない価値高いものを生んでいる。形式的に見て反復記号をもたない冒頭楽章やフィナーレ、あるいはパセティックな情調をもったアンダンティーノの作法などは、モーツァルトがパリで得てきた印象の強さを思い起こさせるし、また楽器法の点では、あの有名なマンハイムのオーケストラの音調が偲ばれる。そして、それらはモーツァルトの優れた劇的才能によって、しっかりと裏打ちされるのである。
出典 http://www.mirai.ne.jp/~nal/mozart_K320.htm

モーツァルトの多くの曲がそうであるように、プロローグから圧倒的な音の魅力に惹き込まれてしまう。全編を通して目一杯の明るさの中にも、そこはかとない哀愁漂うモーツァルトの作品群にあって、春の陽光のように聴いていて心がウキウキしてくるような幸せに包まれた曲だ。

ポストホルン》とは、15世紀にフランス、ヴェネツィアなどで郵便制度が始まった時に、郵便配達人がその到着と出発を知らせるのに使っていた小型の曲型もしくは環状のホルンの事で、神童時代に父に連れられ演奏旅行をしていたモーツァルトが、この時に耳にしたものを後に巧みに作品に採り入れた。  殊に、第6楽章(メヌエット・トリオ・第二トリオ)でのポストホルンの音色は、美女の微笑みを連想させる美の極致と言える。

美女の微笑みは儚い、されどモーツァルトの微笑みは永遠なのである (*^m^*) ムフッ

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