2004/06/19

無駄足(東京劇場part5)

 異常なまでのノロノロ運転の末、ようやく船橋に辿り着いた頃にはすっかり空腹を抱えていたのだったが

(さあ、食事でもしていくかー)

と思って辺りを見渡してみると、予想外に結構な田舎だ。

うだるような暑さの中、地理不案内の町を歩き回る面倒さが先に立ち、駅構内の閉店間際のスーパーで値下げされているパック入りの助六とビールを買い、闇に紛れて手早く空腹を満たす。西船橋まで出て地下鉄に乗り換え、ともかく行けるところまでいってタクシーで帰るしか仕方ないかと憂鬱な気持ちになり、恐らくは同じ境遇であろう疲れ切った顔の並ぶ車内を見回していると、先の和風娘の顔がまたしても視界に入って来た。

皮肉な事に、散々に大回りして苦労を強いられた挙句、いつの間にやらダイヤが復旧しているではないか。

(復旧したならしたで、ハッキリとわかるようにアナウンスせんかい!)

と改めて怒りが込み上げて来たから、慣れぬ乗り継ぎに失敗して自動改札で切符を入れたまま持って出るのを忘れ、地下鉄改札で駅員とまたしても揉める事になろうとは。

「JRの切符を取ってくるのを忘れてね・・・西船橋から来たんだけど・・・」

「地下鉄の切符は?」

こいつも太ってデカイ態度の憎らしいヤツだ。どうして鉄道マンというのは、こうもデブで態度のデカイ生意気なのが多いのか。

「地下鉄の切符なんて、あるわけないだろ・・・JRで来たんだから」

「切符なしで乗ったのか・・・?」

太々しい態度と、詰問するような憎らしい口調に激怒した。

「地下鉄が動かねーから、JRで大回りしてきたんだろーが。なんで地下鉄の切符があるのか!」

「あ・・・失礼しました・・・」

「人を二時間も足止めや大回りをさせておいて、復旧したんならみんながわかるようにアナウンスしたらどうなんだ!」

ま、こんな下っ端風情に言ったところで仕方ないが。結局、この日も台風と大雨に祟られた前日同様、9時過ぎにホテルに入った時は既にクタクタであった・・・

 翌日は午前が大手町、御茶ノ水、午後からは新宿御苑、神田、六本木。木曜は、午前にキャンセルがあったため午後からの活動となり渋谷、三越前。金曜も午前の予定がなく、午後から六本木、飯田橋と廻った。

まだ6月とはいえ、空梅雨のせいで連日30℃を超える真夏並みの暑さと、どこへいっても人込みばかりだけに余計に暑く感じる。土地勘がまったくないため、電車の乗り継ぎに失敗して違う路線のものに乗ってしまったり、山手線は何度乗っても逆廻りに乗りそうになってしまう。

2つか3つめの駅だから、直ぐに着くだろう・・・)

と思いながらいつまでも経っても着かないので不思議に感じていると、案の定「外回り」と「内回り」を間違えて乗っていたりした。路線図は散々見たが、あれだけびっしり駅があっては田舎者としては何度見ても頭に入らない。

考えてみれば、この1週目のスケジュールは総て23区内の企業ばかりで、距離的には大した移動をしていないはずだったのだが、慣れない土地での連続移動は予想以上に大変である事を実感した。

結局、無駄に苦労した割には大した収穫がなかった1週目の活動が終わった。土・日は相手企業が休みの関係でアポがなく、久々にゆっくりとした時間が持てると、冷房の効いたホテルでノンビリとごろ寝とPCでも楽しもうかと計画していたが「部屋の清掃」で追い出される羽目となり、気分転換にスポーツクラブで汗を流す事に。

ネットで検索した公共のスポーツセンターへ行き、近くにあったダイエーでトレーニング用の安物シューズとウェアを調達し、久々に気持ちの良い汗を流した。あまりの暑さで観光する気分にもなれず、エアコンの効いたホテルの部屋は光ファイバーのネット環境ともども快適そのものではあったが、連日昼になると「清掃」で追い出されるのだけは厄介だ。

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