2004/06/14

中学生文士 φ(◎_◎;)

 某アイドルの人気がうなぎのぼりになるのに比例し、にゃべの熱も騰がる一方。「TVに出ていない時は、せめて声だけでも・・・」と、アイドルがパーソナリティを務めていたラジオ番組に、かじりついていた。

その番組の中で、アイドルがショートショートを朗読するコーナーがあり、これを楽しみにしていたが、何回か聴くに及び

「星新一は無理でも、この程度のものならオレにでも創れる」

と思い立ち、早速ショートショート創作を始める。最初は、アイドルの朗読したものの中で、特に気に入っていたアイディアを拝借して独自にアレンジを加えたていたが、これは我ながら傑作と自信の出来栄えだった。

「これを、オレ一人で楽しむのは損失だ・・・」と翌日学校に持ち込み、まずはムラカミに読ませてみた。

無言で熱心に読み進むムラカミのどんな表情の変化も見逃すまいと、固唾の飲んで見守るにゃべ。

「うん、これはおもしれーな。うん・・・まあまあの出来と言っていいんじゃねーかな・・・また出来たら読んでやろう・・・うんうん」

同級生一の頭脳と信頼を寄せるムラカミだが、皮肉屋の彼としては珍しい手放しの賞賛にすっかり気を良くし、これをきっかけに創作に魅力にはまっていく事になる。

そして数日後・・・

「オイ、にゃべ! オレも、書いてきたぜ・・・」

と見せられたムラカミの作品は、さすがに唸らせる高水準だっただけに

(こりゃ、負けられん!)

と、創作に一層の熱が入った。そのうちに、マサやシモッチらが

「おい、オマエら! オレにも読ませろ」

といった具合に、次第に読者層が広がっていき

「さすがは、A市小学生作文コンクール主席入選! 芥川賞候補!! 早く次を読ませろー」

などと皆から催促されるに至り、すっかりいっぱしの小説家気分に舞い上がってしまい、益々創作の魅力にハマって行くのであった。

 すっかり創作の魅力にドップリとハマってしまい、サッカー部の活動が終わって家へ帰るや疲れも見せず、寸暇を惜しむようにしてショートショートの創作に没頭していた。受験の年だというのに、学校でも放課後ばかりか授業中にも密かに教師の目を盗み、創作に精を出す日々が続く。

そうして2作目、3作目が出来上がり、すっかり「読者」から催促を受けるまでの売れっ子となって来た、とある日の事である。

「オイ、にゃべ! これを見ろ!」

およそ小説執筆などには縁遠そうなシモッチが差し出すノートをみると、驚いた事ににゃべ作の物語がシモッチの手により、躍動感溢れるマンガに姿を変えているではないか・・・シモッチの巧みなマンガに、改めてすっかり感心し

「よし、シモッチよ・・・これからは、マンガを共作しようじゃねーか。今度はショートショートではなく、マンガ用の原作を書いてくるぜ・・・名付けて『にゃべ劇場』でどうだ・・・まあ、オレの自伝みたいなものだがな・・・」

「よっしゃ! ともかく、出来上がったら見てせてみろや」

と話が決まり、ここに「原作にゃべ/画シモッチ」のゴールデンコンビが誕生を見た。

それからは創作の快感ばかりか、半分はシモッチのマンガを楽しみに益々熱が篭るという好循環で、空いた時間はもっぱら創作に勤しむことになる。物語もショートショートからはうってかわり、マンが向けの大作(?)になるに及んだことに加え、シモッチ画の人気も大いに手伝って読者は一気に増えていき、男子生徒の間で時ならぬブームとなっていった。

シモッチの巧みな漫画に、見る度に感動を新たにし

(シモッチの漫画に負けられんような、面白いストーリーを創らねば・・・)

と張り切ったし、恐らくはシモッチの方も

(にゃべの原作に負けんような、いい絵を描いてやるぞー)

と、張り切っっていた事であろう。こうしてお互いが切磋琢磨して、益々心待ちにするファンの数を増やしていった。

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