2004/06/05

新米教師を弄る

 この年の担任は大学を出て赴任後2年目という、弱冠24歳の若いガンゾーとなった。まだ、どこかの大学生といった感じの童顔と気さくな人柄で結構人気があったが、フケ顔だったにゃべっち兄のマッハと比べて、どうみても年下にしか見えなかっただけに、どうにも頼りない。それに加え、サッカー部監督としてすっかり顔馴染みとなっていた気安さも手伝って、すでに「からかい対象」に成り下がっていた。

学生からは、苗字を捩って「ガンさん」と呼ばれていたが、悪友トリオが

「どー見ても『ガンさん』なんて貫禄はねーよな。ガンちゃん、いやガンゾーの方がピッタリや」

などとサカナにしているうちに、陰で「ガンちゃん」とか「ガンゾー」と呼ぶ癖がついてしまい、いつの間にやら本人のいる前でも「ガンゾー」と呼んでしまった。

「ガンゾーって・・・誰のこっちゃ?

あんなー、オマエら・・・仮にも、オレはおまえらの教師なんだぞ、教師!   教師というものを、もっと敬わにゃいかんだろ~がよー・・・」

などと当初こそ真剣に怒っていたが、そこは体育会系のサッパリした気性の成せる業か、ハタマタ「コイツらには、何を言ったところで糠に釘」と悟ったか、諦めは早かった。

こうして、悪友トリオによる「ガンゾー」呼ばわりは、いつの間にやら公然化し、それに便乗する形で他の男子たちの間でも「ガンゾー」、「ガンちゃん」呼ばわりが流行してしまった。さすがに、面と向かって言うのは悪友トリオくらいのものだったが、親しみを込めたこの呼び名には本人も次第に、満更でもない様子になっていった。

 そんな或る時のこと。卒業文集の原稿を作るため、女子から学生時代のことをインタビューされたガンゾー。

「サッカーを始めたのは『A小』からで・・・『A中』時代を経て『A高』では・・・」

などと得々と話していた。

「え~っ?

ガンさん・・・いや、センセイって(学区トップ校の)『A高』出身だったんですか~? さぁすがー」

と、女生徒らから尊敬の眼差しを浴び

「『えーっ』とはなんだ、えーっとは! 当然だろ~が。まあ『A高』では、すっかり落ちこぼれちゃったけどなー・・・ハハハ」

「大学は・・・?」

「大学は『M大』さ」

ちなみに愛知県の大学ランクとしては

・超一流 : 名古屋大(国立)
・一流 :
名古屋工業大(国立)、名古屋市立大(公立)
・一流半 : 愛知教育大(国立)、
愛知県立大(公立)、南山大(私立)

そして、偏差値50前後に位置する『M大』その他は「二流以下」と言われていただけに、悪友トリオで最も毒舌で鳴らしたマサなどは

「なんだ・・・アイツは、たかがM大出だったのか。どうせあのツラからして、たいしたトコは出てねーとは思ってたが・・・にしても、思った以上にショボイぜ」



「そうそう、オレたちのような天才を預かるんなら、東大とまでは言わんがせめて名大くらいは出といてもらっとかな・・・」(ムラカミ)

「つーか、たかが『M大』出で、教師になれるんかい」(にゃべ)

などと、自分らには無縁と信じられた駅弁私大(特に、にゃべとムラカミは)と訊いて大いに盛り上がった(馬鹿にした)ものであった ( ゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ

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