ところが、今度は6月だと言うのに季節外れの台風という、厄介な相手が待ち受けていた。それも選りによって出発当日に、東海地方に最も接近して来ていたのだから、始末が悪い。
当初の計画ではラッシュの時間帯を避けて遅めに出発して、上京初日は予定を居れずに色々と準備をする日に当てていたのだったが、直前になって3日目に訪問のアポを入れていた会社から
「火曜日(2日目)に、どうしてもお客さんの方でお会いしたいという依頼が来まして・・・なんとか、お願いできないでしょうか?」
「うーん、もうスケジュールがギチギチなんですが・・・30分くらいなら、どこかに入れられるかも・・・」
というわけで強引に割り込まれてしまったのはいいが、客先面接の前に自社でヒアリングをしておきたいという事だ。しかしながら当日は時間が取れないため、急遽到着日の夕方に入れられてしまった経過があり、台風が直撃といえど出発日を翌日に変更するわけにはいかない。
買った(まだ、金は払ってなかったが・・・)ばかりのPCが雨に濡れるのがなにより心配だったが、上手い具合に家から駅までの10分ほどの間だけは止んでいてくれて助かった。
駅を目の前にしたところでまたパラパラと降り始めたが、PCは濡らす事なく無事に辿り着きホッとひと息。
(やれやれ・・・これで後は新幹線で東京まで行って、地下鉄で大手町から西葛西駅まで。駅からホテルは徒歩1分と書いてあったから、どうやらPCは無事に運べそうだ・・・)
などと思案しつつ、名鉄名古屋駅からJR線に乗り換える道を歩くと、まさに「バケツをひっくり返したような」という表現がピッタリなほどの滅多にないような酷い土砂降りだ。
台風の影響で風も強いため、屋根は付いているものの横殴りに猛烈な勢いで雨が降りこんで来る。どうにか新幹線のホームに辿り着くと、依然として猛烈な土砂降りが続いており、ホームの階段の真ん中より下辺りに避難していても強風に流され、雨が降り込んでくるのには参った。
(クソ!
なんで選りによって、こんな6月に・・・しかも人が出発する時に、こんなに酷くなるんだ!)
と怒ってみても始まらないが、何とはなしに不吉な行く手を予感させるような、不穏な船出となった事は確かであった。
あれだけ降っていた雨も静岡辺りからは止んでいる様子で、東京に着いた時には曇り空ながら雨はポツリとも降っていなかったのは幸いだった。
とにもかくにも、東京に着いて最初の食事だからと駅名店街の回転すし屋で景気付けをし、ホテルに向かう。ホテルは、都内外れにあった。
ともかく邪魔な荷物を部屋に置いてPCをセットし、メールチェックを兼ねてネットに繋がる事を確認してみる。光に変えてある自宅では、新品のdynabookでは平均して25MBくらいは出ていたから多少の速度落ちは覚悟していたものの、どうやらこちらも光らしく35MB前後と期待以上のスピードが出ていた。
しかしながら到着早々とは、いえノンビリホテルに落ち着いているわけにもいかない。指定された夕方に某社を訊ねてJR大塚駅を降りると、止んだと思っていた雨がまたいつの間にか降り出し、かなりの土砂降りとなっていた。
無論、傘の用意などはないし、また駅から見えているビルまで行くのにコンビニのボロ傘で350円もの無駄な浪費をしたくもなく、結局濡れ鼠となる羽目に。用事を済ませた時には雨は殆ど止んでいたが、慣れぬ電車の乗り継ぎで散々に手間取った挙句、大手町地下通路の立ち食いそばで夕食を済ませ、ホテルに戻った時はすっかり遅くなっていた。
2日目は朝からのハードスケジュールに加え、急遽押し込まれた客先面接が入り、午前は朝から泉岳寺、渋谷、昼を挟んで神保町に廻って、偶々目に入った「てんや」の天丼を5分以内で食べるのが精一杯だった。
再び渋谷に戻り、この日最後のスケジュールが思ったより早めに済んだ事もあって、渋谷の町をブラブラしてから帰ろうかとも考えていたが、真夏並みの猛暑と人込みに早くもウンザリし始め、早々にホテルへ引き上げる。
(今日はエアコンの効いたホテルで、涼しい夜を過ごせるか・・・)
と悦んだのも束の間、地下鉄の路線を乗り換えようとしたところが、何故か異様な雰囲気だ。異常なまでに人が溢れているところから、明らかに何らかのトラブルがあって電車が停まっている事は想像が付いた。しかもついてない事には、選りによってホテルの最寄り駅がトラブル発生地帯になっていたから、途中までは順次運行が再開されたものの、最寄り駅までの復旧目処はサッパリと言う事らしい。
(畜生め!
やっと台風が行って、今日は早く帰ってホテルでノンビリと過ごそうと思っていたのに・・・)
と腹は立ったが、こればかりはどうにもならぬ。仕方なく、先に食事でも済ませておこうかとブラブラしたものの、気に入った店が見つからないので取り敢えずは駅に戻り、相撲取りのように異常に肥満した駅員に
「×××までは、いつになったら行けるのかな?」
と訊くと、反対側から別の客に声を掛けられた「関取」は、巨体を喘がせて脱兎の如く逃げていった。
「逃げるな、おい!」
と、ついイライラが爆発してしまった。
代わって出てきた仏頂面の中年オッサンに
「×××までは、いつになったら行けるのかって訊いてんだけど・・・?」
「今のところ、まったく未定です・・・」
「未定って・・・じゃあ、どうすりゃいいの?」
「JRで振り替え輸送をしてますので、JRに乗って下さい・・・」
「JRは、西葛西に停まるのかね?」
と遣り取りしている途中でオッサンが呼ばれて去って行き、今度は若い女性に代わった。
「JRは×××に行ってるのかな?」
すると、横からリーマン風のオッサンが
「×××へは、どうやっていくの?」
と割り込んで来たから、遂にブチキレタ (`Д'♯)ノ
「オイ!
今は、こっちが訊いてるんだよ・・・このバカモノが!」
仕方なく代替輸送のJRに乗って、船橋まで出る事にした。暑いホームにボンヤリと立っていると、目の前にグレーのリクルートスーツが初々しい感じの和風顔のカワイコちゃんが立っていて、混雑する電車内でオッサンに挟まれて座席にちょこんと収まっていた・・・
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