2004/06/08

女子マラソン劇場part3


 勿論、選手もそうだが、ひとくちにコーチといっても色々なタイプがいる事だろう。中には、自分の出世や売名のために選手を利用しているとしか思えない不逞な輩も見受けられそうだが、小さい会社の所属コーチなどでは特定の有力な選手にベッタリと張り付くようにして、それは献身的に尽くしている人もいるのは確かかもしれない。

苛酷な練習から、遂にA子選手の身体に異変が起こった・・・

「もう私は嫌だ!

このままお婆ちゃんになっちゃうなんて・・・マラソンのせいで、自分の人生を捨てたくないよ・・・」

「なに言ってんだ。オマエは天才なんだぞ。日本中が、お前の金メダルに期待してるんだ・・・金メダルを取ったら思う存分、やりたい事をやればいいじゃないか。それまでの辛抱だ。

そう・・・長い人生から見れば、ほんの少し辛抱するだけだ。オリンピックが終わったらなんでもオマエの好きにさせてやるから、ここが正念場だと思って頑張ろうぜ、なぁ・・・」

しかし、これまではコーチの命ずるがままに高性能なロボットのように苛酷な練習をこなして来たA子選手の、抑えに抑えて来たフラストレーションが遂に爆発した・・・

「もう止して!

そんなの誤魔化しでしょ?

どうして私が、お国の犠牲にならなきゃならないの?


それでお婆ちゃんみたいな身体になって、男に見向きもされなくなるまでやれって言うの?

それで国が、どう責任をとってくれるって言うのよ?

誰が、その責任を取ってくれるって言うの?


みんな何にも責任なんて取ってくれるわけないのに。

フン、外野なんて、いい気なもんだわ・・・」

「A子・・・」

・゜・(/Д`)・゜・。うわぁぁぁぁん (A子号泣)

「オレが責任をとるさ・・・」

「責任取るって・・・」

「わかるだろう・・・?」

「・・・本当?」

「本当だとも・・・お前をこんなにまでしたのは、総てオレの責任だからな・・・いや、本当は以前から考えていた事だったんだ・・・しかし大事な本番を前に、こんな話をすると余計な雑念が入ると思って黙っていたんだよ。

よ~し、オマエがそこまで不安を抱えているのなら、この際この場でハッキリと約束しようじゃないか。オリンピックが終わったら引退して、二人で盛大な式を挙げて人生を大いにエンジョイしよう!」

「本当・・・嬉しいっ!(TT) ウウウ(号泣)」

「その代わりだ・・・オリンピックまでは、死ぬ気で頑張ってくれないとな・・・」

「わかったわ・・・コーチ~!」

「A子~!」

 ところがこのA子選手は、本番直前に怪我をしてオリンピックに出られなくなると、すっかり現役生活に執着をなくしてコーチに約束の履行を迫った。が、代役での出場が決った補欠選手に掛かりきりにならなければいけなくなったコーチは、異常なまでの執念でしつこく迫ってくるA子選手が恐ろしくなり、アリバイに使うためのヤラセのビデオを言葉巧みに撮影しておいて、遂にA子選手殺害を計画した・・・

日本人に比べると、遥かに男女間の密着の度合いが高い欧米などでは、こうした選手とコーチが夫婦関係になるケースが良く見られるが、最近は日本でもそのようなケースは珍しくない。結婚・出産後に復帰しているようなアスリートも、しばしば出てきているのは、ご存知の通りだ。

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