二度目の東京行きのスケジュールを決め、幾つかの面接スケジュールを入れた後に仮住まいの頭金まで払い込んで、いよいよ上京というタイミングで降って湧いたように声が掛かった地元での案件。ギャラと立地、また短期間という諸々の条件はあまり良くはなかったものの、最も肝心な業務内容はかなり魅力的であり、東京行きを躊躇わせるには充分であっただけに、土壇場に来て思わぬ悩みを抱える事となった。
(あそこで3~4ヶ月新しい経験を積んで、気候が良く活動しやすくなる秋に東京へ進出するのもいいんじゃないか・・・)
という気持ちに傾きつつもあった。
そうして悩む間にも、東京の複数の会社からはスケジュールを入れたという連絡や転職サイトからも何件かのスカウトメールが届き、それに対する対応をしているうちに
(やはり既にレールに乗っているこの流れは、今になって止められない・・・これだけ土壇場になって幾つかの予約をキャンセルするのは、後々の信用にも関わって来るからな・・・どのみち最終的には、東京でやっていく事になるんだから・・・)
と、改めて初志を貫徹する決意が固まった。そうしたタイミングで、S社から連絡が入
「一昨日の面接の結果が出ました・・・おめでとうございます! 是非、来て下さいとの事です!」
「悪いけど色々考えた結果、やっぱり辞退するよ・・・」
「え・・・?」
呆気に取られる担当者に熟慮した結果、初志を貫徹したいと簡単に説明をして電話を切った。
なんとも皮肉なものだ。あれほど転職活動で散々に振り回され続けた挙句、東京行きを決意してスケジュールなどが出来上がった出発間際になって、よもやこんな誘いが舞い込んで来ようとは・・・
ところでS社の客先会社というのが、数年前に所属会社の客先会社として間に入っていたのと同じ会社であった。前回「嫌なヤツ」と表現したのは、今でも忘れる事の出来ない当時の腹立たしい思い出があったからである。
数年ぶりで訪問した時は、社名も住所も担当者も変わっていた事からまったく気が付かなかったが、面接官から「にゃべさんとは、以前にご縁がありましたよね?」と言われたのを疑問に思いつつも、面接を終えて受付で待っている時に素通りしていった「その人物」を目にした時には
(ハテ、どこかで見かけた記憶が・・・?)
と、微かに記憶中枢を刺激したのである。さすがに、なんとはなしに胸のムカツキを感じたのは、あながち爬虫類めいた相手の無感動な表情のせいばかりでもなかったろう。忘れもしない、数年前に所属した現場で起きたトラブル時。上位会社ボンクラ社員のミスの責任を意図的に転嫁され、契約途中で大きなトラブルに発展した事件ではバックアップする立場にありながら、爬虫類を思わせるあの無気味な目付きでクライアントと密かに取引をして、自前の技術者を冷酷に窮地に追い込んでいったあの時の対応は、まことに忘れがたいほど憎かったものだ。
しかし、それは数年前のカビの生えた話であって今回の件とは担当者も違うし、今度の辞退そのものの判断にはまったく影響はない。ただ東京行きは既定の路線であり、既にレールは敷かれているのである。
そもそも大きなリスクを背負ってまで東京へ行く決意を促したのも、決して活気のある東京のIT業界に惹かれたのではなく、こうした姑息なやり方を続けて来た、T社を始めとする名古屋の業界ではなかったのか。今更3ヵ月ばかりだけ留まったところで、どうなるものでもないではないか! というのが最終的な結論だった ( °Д°)y─┛~~~~
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