2004/06/20

モーツァルト セレナーデ第9番『ポストホルン』(1)



 1779年にザルツブルクで完成されたが、どのような経緯で作曲されたかについては不明である。

モーツァルトが作曲したセレナーデの中で楽器編成が大きく、規模も大きいことから「何らかの祝典のために作曲された」と考えられている。また第5楽章がニ短調であることは異色で、そのため様々な憶測が生まれ、ポストホルンは馬車の出発を暗示することから、モーツァルトはザルツブルクを去って行く知人への思いを託して、この楽器を使用したとする説もある。

この頃、すでに大司教との折り合いが悪くなっていたモーツァルトは、ポストホルンを使用することによって、ザルツブルクを去りたい自分の思いを伝えようとした説もあるが、ともに確証はない。しかし、ザルツブルク時代の最後を飾ることとなったこのセレナーデは、両端の楽章で効果的に用いられているマンハイム風のクレッシェンドや、第3楽章、 第4楽章における協奏的な手法など、1777年から1778年のマンハイムとパリへの旅行でモーツァルトが得た経験が巧みに取り入れられている。

同じ時期に作曲された「パリ交響曲K.297や協奏交響曲K.364よりも大規模な編成のセレナーデであり、交響曲に劣らぬ大作であり名作として知られている。

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