2004/02/06

ゴトーショック(にゃべっち編)


 『H小』転向後、知らない連中ばかりの中ですっかり「神童」に成りおおせた(?)ゴトーにとって「にゃべっち」という存在は、あまり思い出したくもない苦い過去であったに違いない。などと忖度したものの、そんな事とはツユ知らない真紀が何かの折りに、ご丁寧にもゴトーに『B小』時代の事を確かめてきたらしい。

「この前、ゴトーと廊下であった時に、にゃべの事を訊いたよ。

『オーミヤ!

オマエ、アイツと同じクラスかよー」

最初は、なんかビックリしてたみたい。

『小さい頃は、よく遊んだぜ』

なんて笑ってたけど」

ムラカミにも、ゴトーの話をすると

「ホー、あのゴトーだったのか・・・オレもあの変な名前に、どーも憶えがあるとは思ってたんだがな・・・」

「そうそう、知らない間に『B小』からは消えていたと思ったが」

2人で顔を見合わせたほどで、3年生の時に途中で転校して行った経緯すら、ろくろく思い出せない始末だった。

 それはともかくとしてその日、改めてサッカー部でゴトーの姿をしげしげと観察し

(これが、あのゴトーとは・・・やっぱ、どう見ても別人だよ・・・)

と思わず見違えて、これまで1ヶ月間気づかなかったのも無理はない。

かつて、にゃべっちやマツモトらに虐められていた頃のひ弱な面影は、すっかり跡形もなく消し飛んでいたのである。

「オイ!
オマエって、以前『B小』にいたゴトーだったんか?」

ヾ( >▽)ノ彡☆

今頃、やっと気付いたか・・・オマエらしーよ」

「オイオイ・・・オレの事に気付いていたんなら、声くらいかけてくりゃ良かったのに・・・」

「いつ、オマエがオレの事に気付くかと思ってなー。ぎゃははは」

と、ゴトーはさも愉快そうに笑っていた。

 翌日、改めて真紀に

 「オイ、オーミヤ!
やっぱり、同じサッカー部にいたヤツだったぞ、ゴトーは。
いや~、昨日まで全然わからんかった (ノ∀`)アヒャヒャヒャヒャ」

「えっ、マジ?

それって、ちょっと酷くない・・・?

ゴトーも、内心ショックだったろうねー」



「ホント、このコったらズボラなんだからねー。

信じられんわ、それ」

と、また千春が割り込んで来た。

「そうじゃねーってば。本当に同じヤツとは思えんほど、変わってたんだって。それで『H小』では、そんなに優秀だった?」

「ううん、そりゃもう、凄く優秀だったよ」

と、真紀はべた褒めなのである。

そうは言われながらも、かつてのイメージが強いこちらとしては、どうしてもあのゴトーが「神童」とは信じ難いところではあったが、さりとて他の誰でもない真紀の言うことだから、これまた真実味は充分である。

それよりなにより、サッカー部で見る実物のゴトーがあの変身ぶりだから「神童」の噂もあながち「デタラメ」と決め付けることは出来ぬ。なんとも狐につままれたような、奇奇怪怪さであった ( ̄_ ̄;) うーん

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